SH4177 経産省、第18回産業構造審議会不正競争防止小委員会を開催 工藤良平(2022/10/28)

取引法務営業秘密・機密情報管理

経産省、第18回産業構造審議会不正競争防止小委員会を開催

岩田合同法律事務所

弁護士 工 藤 良 平

 

 令和4年10月18日、経済産業省は、第18回産業構造審議会不正競争防止小委員会を開催した。

 コロナを契機としたデジタル化の進展やリモートワークの進展による情報流出リスク増加や、データやノウハウといった「情報財」について不正競争防止法上の営業秘密や限定データの規律による保護強化の要請といった環境変化を受け、不正競争防止法の改正に向けた検討が令和3年12月以降の産業構造審議会不正競争防止小委員会において実施され、令和4年5月17日に不正競争防止法の課題と対応の方向性に関する『デジタル社会における不正競争防止法の将来課題に関する中間整理報告』が取りまとめられた。

 当該中間整理報告で議論・整理された論点は以下のとおりである。

  1. ■限定提供データに係る規律の制度・運用上の課題の見直し
  2. ■立証負担の軽減(第5条の2)
  3. ■損害賠償額算定規定の見直し(第5条各項)
  4. ■ライセンシーの保護制度(例:当然対抗制度、適用除外)
  5. ■渉外事案に係る国際裁判管轄・準拠法
  6. ■デジタル時代のブランド・デザインの保護(第2条第1項第1号~第3号)
  7. ■外国公務員贈賄罪の規律の強化保護

 

 中間報告整理では、営業秘密に関する不正競争防止法の規定のうち、技術情報の保護に重点を置いた規律となっている点について保護対象となる情報範囲の拡充を検討するものとされたほか、情報の窃取・流出等の事案において被害企業による不正競争防止法に基づく民事訴訟の遂行上の課題となり得る管轄・準拠法・損害賠償算定の適正化等に係る法規定の見直しを実施するなどの方向性が示された。

 今次の小委員会では、中間整理報告での検討・方向性を踏まえ、以下の論点につきさらに深堀りする形で法改正に向けた議論・検討が実施される予定である。

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(くどう・りょうへい)

岩田合同法律事務所パートナー。日本及び米国(NY州)弁護士。2002年東京大学法学部卒業。
2006年コロンビア大学ロースクール(LL.M.)修了。2010年東京大学法科大学院修了。主に知的財産法一般・企業法務全般に係る助言を行う。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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