SH4340 消費者庁、コンサートの提供事業者3社に対する景品表示法に基づく措置命令 佐々木智生(2023/03/03)

取引法務表示・広告規制

消費者庁、コンサートの提供事業者3社に対する景品表示法に基づく措置命令

岩田合同法律事務所

弁護士 佐々木 智 生

 

1 はじめに

 消費者庁は、2023年2月15日、㈱オン・ザ・ライン、㈱ボードウォーク、及びマーヴェリック・ディー・シー㈱の3社(以下「3社」という。)に対し、3社が共同して提供したアーティストのコンサート(以下「本コンサート」という。)に係る表示(以下「本表示」という。)が、それぞれ優良誤認表示(下記で定義する。)に該当し、景品表示法5条1号に違反するとして、措置命令(同法7条1項)を行った(以下「本事案」という。)。

 消費者庁が、コンサートの座席に関する景品表示法違反について初めて措置命令を行った点、及び本コンサートは有名アーティストが出演する大規模なもの(2022年5月21日、同月22日に東京ドームで開催)であった点において、本事案はセンセーショナルな話題を提供しているため、その概要を紹介する。

 

2 本表示の概要

 本表示は、①本コンサートのオフィシャルウェブサイト、及び「ticket boards」と称するウェブサイトの2つの媒体における、②本コンサートの座席に関する表示であった。消費者庁によれば、たとえば、2022年1月1日から同年5月18日の期間において、本コンサートのオフィシャルウェブサイトでは、「会場の座席レイアウトはこちら」との記載と共に、以下の画像が表示されていた。

 

(出典)消費者庁の2023年2月16日付
「コンサートの提供事業者3社に対する景品表示法に基づく措置命令について」別紙1の2枚目

 

 本表示の問題点は、①上記の座席レイアウトに表示された内容と、②チケット購入者が実際に座る座席の内容に、以下のとおり「ずれ」が生じていたことにある。

この記事はプレミアム会員向けの有料記事です
ログインしてご覧ください


(ささき・ともお)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2014年一橋大学法学部卒業。2016年弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

<連絡先>
〒100-6315 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング15階 電話 03-3214-6205(代表)

タイトルとURLをコピーしました