◇SH2161◇法務担当者のための『働き方改革』の解説(13) 大皷利枝(2018/10/29)

未分類

法務担当者のための『働き方改革』の解説(13)

職務等に関連する手当の均衡・均衡待遇の確保

TMI総合法律事務所

弁護士 大 皷 利 枝

 

Ⅴ 職務等に関連する手当の均衡・均衡待遇の確保

 本稿では、勤務に関連する手当のうち、特殊勤務手当と精皆勤手当について述べる。

 

3 特殊勤務手当

 <ガイドラインたたき台の基本的な考え方>

交替制勤務等の勤務形態に応じて支給される特殊勤務手当は、通常の労働者と同一の勤務形態で業務に従事する短時間・有期雇用労働者に対して、同一の支給がされなければならない。

 

 <ガイドラインたたき台が示している具体的な事例>

[ 問題とならない例 ]

  1. ・ 雇用形態を問わず、就業の時間帯又は曜日を特定している労働者に対しては、労働者の採用が難しい時間帯や曜日に就業する場合、特殊勤務手当を支給し、そのような特定がない労働者には、特殊勤務手当を支給していない。
  2. ・ 入社時に必ずしも交替制勤務が予定されていない正社員には、交替制勤務に従事する場合、特殊勤務手当を支給しているが、交替制勤務に従事する前提で入社した短時間労働者(通常勤務のみに従事する短時間労働者よりも基本給が高く、通常の労働者に支給される特殊勤務手当と同一の負荷分が盛り込まれている。)に対しては、特殊勤務手当を支給していない。

 

 前稿でも紹介した日本郵便事件では、正社員がシフト制勤務で早朝や夜間に勤務した場合に支給される早出勤務等手当や夜間特別勤務手当が、契約社員には支給されていなかった。裁判所は、この点につき、契約社員は採用時に早朝や夜間が勤務時間として合意されている一方、正社員については、早朝や夜間の勤務がない正社員との公平を図る必要があること、契約社員に対しては本人の同意がない時間帯にシフトが組まれないよう配慮がされていること、契約社員には正社員よりも一部有利な割増賃金が支給されていることなどを理由に、適法と判断している。

 

4 精皆勤手当

 <ガイドラインたたき台の基本的な考え方>

通常の労働者と業務の内容が同一の短時間・有期雇用労働者には、同一の精皆勤手当を支給しなければならない。

 

 <ガイドラインたたき台が示している具体的な事例>

[ 問題とならない例 ]

考課上、欠勤についてマイナス査定を行い、待遇にも反映する通常の労働者に対しては、一定の日数以上の出勤をした場合、精皆勤手当を支給するが、欠勤についてマイナス査定をしない有期雇用労働者には、マイナス査定をしていない見合いの範囲内で、精皆勤手当を支給していない。

 

 第2章Ⅲで詳述したとおり、ハマキョウレックス事件では、職務の内容が同じ契約社員については、皆勤手当を支給しないことが違法と判断されており、ガイドラインたたき台の基本的な考え方が踏襲されている。

 

タイトルとURLをコピーしました