◇SH2194◇経産省・総務省・公取委、「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する中間論点整理(案)」を公表(2018/11/15)

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経産省・総務省・公取委、「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する中間論点整理(案)」を公表

――プラットフォーム・ビジネスに対応できていない業法の見直しの要否、公正かつ自由な競争の再定義等――

 

 経済産業省・総務省・公正取引委員会は11月5日、「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」(座長=泉水文雄・神戸大学大学院教授)の中間論点整理(案)を公表した。

 近年、デジタル分野のプラットフォーマー(以下「デジタル・プラットフォーマー」)がイノベーションを牽引し、事業者の市場アクセスや消費者の便益向上に貢献している。また、デジタル・プラットフォーマーが製造業等のリアル分野にも事業領域を拡大し、世界の時価総額上位企業を米国や中国のデジタル・プラットフォーマーが占める状況もみられる。他方、こうしたデジタル・プラットフォーマーを巡っては、取引条件の不透明・不公正、データ寡占、個人情報漏洩、プラットフォーム上での違法・不適切な行為等の問題点が我が国を含め、世界的に指摘されているところである。

 こうした中、経産省、公取委及び総務省は、今年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」において、「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備のために、本年中に基本原則を定め、これに沿った具体的措置を早急に進めるべき」旨が定められたことを踏まえ、競争政策、情報政策、消費者政策等、多様な知見を有する学識経験者等により「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」(以下「検討会」)を7月10日に設置し、調査・検討を進めてきた。

 経産省等では、中間論点整理(案)が取りまとめられたことを踏まえ、今後は、原則として公開の検討会における事業者ヒアリング及びパブリック・コメントを実施し、基本原則の策定及び具体的措置の実施を早急に進めることとしている。

 以下では、中間論点整理(案)の概要を紹介する。

 

「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する中間論点整理(案)」の概要

1 デジタル・プラットフォーマーの意義・特性

 デジタル・プラットフォームは、利用者である事業者(中小企業等)や消費者に様々なメリットをもたらす一方、ネットワーク効果等により、一部のデジタル・プラットフォーマーが寡占化・独占化する傾向がみられる。

 

2 デジタル・プラットフォーマーに対する法的評価の視点

 巨大デジタル・プラットフォーマーに対する世界的な規制の動向を踏まえ、取引環境整備の在り方について検討する必要があるのではないか。

  1. → 巨大デジタル・プラットフォーマーの以下の特徴を踏まえ、取引環境整備の在り方を検討する必要があるのではないか。
  2. ① デジタル・プラットフォーマーは、社会経済に不可欠な基盤を提供。
  3. ② 多数の消費者(データ提供者)や事業者が参加する市場そのものを、設計・運営・管理。
  4. ③ 当該市場は、アルゴリズムによるプロファイリング等を通じて操作性や技術的不透明性が高いとの指摘。

 

3 イノベーションの担い手として負うべき責任の設計(業法の在り方等)

 プラットフォーム・ビジネスに対応できていない既存の業法について、業法の見直しの要否を個別に検討していくことが必要ではないか。

  1. → 以下の観点から、プラットフォーム・ビジネスの登場が必ずしも想定されていなかった業種における業法について見直しの要否を個別に検討していくことが必要ではないか。
  2. ・ 既存の業法が、守るべき社会的利益・価値の観点から、適切な規制を及ぼしているか。
  3. ・ デジタル・プラットフォーマーを一定のコントロール・ポイントとすることで、効果的な消費者保護や安全確保を図れるのではないか。
  4. ・ 既存事業者と新規事業者、国内事業者と海外事業者の間で、競争条件の同等性が確保されているか。
  5. ・ 信頼確保のため認証や監査等の手法を効果的に活用する制度設計の余地はないか。
  6. ・ 柔軟な共同規制の方法も取り入れることを検討してはどうか。

 

4 公正性確保のための透明性の実現

 取引慣行について透明性・公正性を実現するため、大規模かつ包括的な徹底した調査(独占禁止法40条の一般調査権の活用)による取引実態の把握に加え、継続的な調査・分析を行う専門組織等の創設や、透明性・公正性確保の観点からの規律の導入を検討してはどうか。

 

5 公正かつ自由な競争の再定義

 競争法の重要性の高まりを踏まえ、デジタル市場における公正かつ自由な競争の在り方(多面市場におけるネットワーク効果の評価、潜在的な競争相手の芽を摘むような形の企業結合等)について検討する必要があるのではないか。

  1. → 例えば、以下のような論点についてどう考えるか。
  2. ・ 多面市場におけるネットワーク効果やデータ集積等が競争へ及ぼす影響をどのように評価するか。
  3. ・ デジタル・プラットフォーマーが潜在的な競争相手の芽を摘むような形の企業結合について、どのように考えるか。
  4. ・ 経済的価値を有していると考えられるデータを提供し続けている消費者との関係で、優越的地位の濫用規制を適用することを考える必要もあるのではないか。
  5. ・ 違反行為の抑止のための適切なエンフォースメントについて、例えば課徴金などの制度の在り方を検討していくことも必要ではないか。

 

6 データの移転・開放ルールの検討

 データポータビリティやAPI開放といったデータの移転・開放ルールの要否・その内容を検討していくべきではないか。

 

7 国際の観点

 デジタル・プラットフォーマーを巡るルールの国際的なハーモナイゼーション、域外適用の在り方や実効的な執行の在り方について検討していくべきではないか。

 

 

  1. 経産省・総務省・公取委、「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」中間論点整理(案)について(11月5日)
    http://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181105005/20181105005.html
  2. ○ 別添1 検討会開催要綱
    http://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181105005/20181105005-1.pdf
  3. ○ 別添2 デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する中間論点整理(案)
    http://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181105005/20181105005-2.pdf
  4. ○ 別添3 意見公募要領
    http://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181105005/20181105005-3.pdf
  5. (参考)中間論点整理(案)の概要
    http://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181105005/20181105005-4.pdf
  6. (参考)経済産業省アンケート調査結果速報等
    http://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181105005/20181105005-5.pdf
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