◇SH2202◇経産省、「公正なM&Aの在り方に関する研究会」の初会合を開く(2018/11/20)

未分類

経産省、「公正なM&Aの在り方に関する研究会」の初会合を開く

――「MBO指針」の見直し等――

 

 経済産業省は「公正なM&Aの在り方に関する研究会」(座長=神田秀樹・学習院大学大学院教授)を設置し、11月9日に初会合を開いた。

 これは、経産省が平成19年に策定した「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」(以下「MBO指針」)について、策定後の環境変化等を踏まえ、指針の見直しの要否を含めてわが国の公正なM&Aの在り方を検討するものである。

 経産省によると、「第4次産業革命の進展というグローバルな環境変化の中、我が国企業が持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を果たす上で、M&Aにより大胆な事業再編や経営資源の効率的な活用を進めることは極めて重要」であり、「公正なM&Aの在り方を明らかにし、取引関係者の共通認識を形成することは、我が国のM&Aの公正・健全な発展につながる」と考えられ、「取引に係る予見可能性の向上・不確実性の軽減につながり、経済的意義を有するM&Aを促進するとともに、我が国の資本市場に対する信頼の維持・向上にもつながり、海外投資家の資金を我が国の資本市場に集め、企業活動への投資を促す上でも重要」であるとされる。

 経産省では、平成19年9月4日に「MBO指針」を策定したところであるが、それから10年が経過し、その間、実務・裁判例や議論の蓄積が見られるほか、社外取締役の選任の増加をはじめとするコーポレート・ガバナンス改革の進展や株式保有構造の変化等、上場企業を取り巻く社会経済状況にも変化が生じているといった状況を踏まえて、「MBO指針」の見直しについて検討する時期に来ているとの指摘がある。

 また、「MBO指針」は、利益相反構造のあるM&Aのうち、MBOを中心に提言を行ったものであるところ、親会社が上場子会社を完全子会社化する場合をはじめとする支配株主による従属会社の買収等、MBO以外の利益相反構造のあるM&Aについても論点整理を行うべきとの指摘もあるとされる。

 以上を踏まえて、「MBO指針」の見直しの要否を含めて、わが国の公正なM&Aの在り方について検討を行うため、経産省は今般、「公正なM&Aの在り方に関する研究会」を設置し、「MBO指針」策定後の環境変化等を踏まえて、わが国のM&Aを公正・健全な形でさらに発展させていく観点から、「MBO指針」の見直しの要否およびその方向性についての検討を行った上で、見直しを要する各論点についての検討を行うこととしたものである。

 研究会は11月9日に初会合を開催し、来年春を目途に議論の取りまとめを行う予定である。

 以下では、第1回会合配付資料から、「主な論点例」の概要を紹介する。

 

公正なM&Aの在り方に関する研究会(第1回)資料3「事務局説明資料」より

《主な論点例》

1 公正なM&Aの在り方を議論する際に留意すべき着眼点

  1. ・ 利益相反性
  2. ・ 情報の非対称性
     

2 検討対象取引(スコープ)

  1. ・ 検討対象取引(スコープ)の拡大の要否(支配株主による従属会社の買収等)
  2. ・ 拡大する場合、取引類型(MBO/支配株主による従属会社の買収等)や対価の種類(現金/株式)、買収方法(公開買付け/組織再編)による問題状況の差異の有無
     

3 取引条件の公正さを担保することに資する措置

 (1) 特別委員会

  1. ・ 機能、役割、検討対象
  2. ・ 設置の要否
  3. ・ 設置の時期・タイミング
  4. ・ 委員の構成(属性(社外取締役/社外監査役/社外有識者)、独立性、専門性等)
  5. ・ 権限(交渉権限・取引拒絶権、アドバイザー指名権限等)
  6. ・ 委員の報酬
  7. ・ 情報開示(審議・検討・交渉経緯、委員の独立性等)
     

 (2) 株式価値算定、フェアネス・オピニオン

  1. ・ 機能、取引条件の交渉・決定における位置付け・役割
  2. ・ 取得の要否・効果
  3. ・ MBOに際して実現される価値の概念整理との関係
  4. ・ 発行プロセス
  5. ・ 第三者評価機関(独立性、専門性等)
  6. ・ 情報開示(算定内容、第三者評価機関の独立性等)
     

 (3) マーケット・チェック(市場における潜在的な買収者の有無の調査・検討)

  1. ・ 実施の要否・効果
  2. ・ 実施方法(オークション(入札手続)、マーケット・チェック(複数の潜在的な候補者に個別に打診)、Go Shop(M&A契締結後一定期間、対象会社が対抗提案を積極的に勧誘することを認める)等)
  3. ・ 対抗提案を受けた場合の対応(対象会社の取締役会の行為規範、対抗提案者に対するデューディリジェンスの機会の付与の要否等)
     

 (4) Majority of Minority条件(企業買収の実施に際し、株主総会における賛否の議決権行使や公開買付けへの応募の有無により株主の意思表示が行われる場合に、利害関係を有しない株主のうちの過半数が賛成することを取引の前提条件とすること)

  1. ・ 機能
  2. ・ 設定の要否・効果
  3. ・「Minority」の範囲や「Majority」の考え方
     

 (5) 情報開示(再掲)

  1. ・ 対象会社や特別委員会における審議・検討・交渉経緯
  2. ・ 株式価値算定の内容
  3. ・ 特別委員会委員、第三者評価機関の独立性
     

 《今後の議論における視点》

  1. ・ 取引条件の公正さを担保することに資する措置について議論する際には、当該措置の実施が望ましいか否かという二者択一のみでなく、例えば、必要に応じてミニマムスタンダードやベストプラクティス等の位置付けを用いる、あるいは、当該措置の有効性が状況により異なり得る場合にはその具体的な状況を明示するなど、より柔軟かつきめ細かな位置付けを行うことも視野に入れて議論することも考えられる。

 

 

  1. 経産省、「公正なM&Aの在り方に関する研究会」を設置します(11月7日)
    http://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181107004/20181107004.html
  2. ○ MBO指針
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2018/11/MBOshishin2.pdf
     
  3. 経産省、「第1回 公正なM&Aの在り方に関する研究会」(11月9日)
    http://www.meti.go.jp/shingikai/economy/fair_ma/001.html
  4. ○ 資料1 議事次第・委員名簿
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2018/11/001_01_00.pdf
  5. ○ 資料2 公正なM&Aの在り方に関する研究会について(案)
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2018/11/001_02_00.pdf
  6. ○ 資料3 事務局説明資料
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2018/11/001_03_00.pdf

 

タイトルとURLをコピーしました