◇SH2333◇法務省、「商法施行規則の一部を改正する省令案概要」に関する意見募集を開始(2019/02/13)

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法務省、「商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律」による商法改正に対応する商法施行規則の改正について意見募集を開始

――国交省は標準運送約款および標準内航運送約款を改正へ――

 

 法務省は2月4日、「商法施行規則の一部を改正する省令案概要」に関する意見募集を開始した。3月6日まで意見を求めた上で、4月1日から施行する。

 今回の改正は、平成30年5月18日に成立し5月25日に公布された「商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律」(平成30年法律第29号)による商法の改正を受けて、「商法施行規則」(平成14年法務省令第22号)の整備を行うものである。この改正法は、運送・海商法制の現代化を図るとともに、商法の表記を平仮名・口語体に改めるものであり、このうち、改正商法571条(送り状の交付義務等)、770条(海上運送状)に対応する商法施行規則について所要の改正を行うものとしている。

 また、今回の改正法への対応では、国土交通省において、「標準運送約款及び標準内航運送約款のあり方に関する検討会」(座長=雨宮正啓弁護士)が設置されるとともに、「標準運送約款及び標準内航運送約款の一部を改正する告示案」に関する意見募集が1月17日から2月15日まで行われており、確定後、4月1日から施行される。

 以下に、今回の「商法施行規則の一部を改正する省令案」と「標準運送約款及び標準内航運送約款の一部を改正する告示案」の概要を紹介する。

 

「商法施行規則の一部を改正する省令案」の概要

1 書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承諾等

  1. ⑴ 商法571条2項又は770条3項に規定する事項を電磁的方法(同法571条2項に規定する電磁的方法をいう。以下同じ。)により提供しようとする者(⑵において「提供者」という。)は、あらかじめ、当該事項の提供の相手方に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
  2. ⑵ ⑴の承諾を得た提供者は、⑴の相手方から書面又は電磁的方法により電磁的方法による事項の提供を受けない旨の申出があったときは、当該相手方に対し、当該事項の提供を電磁的方法によってしてはならない。ただし、当該相手方が再び⑴の承諾をした場合は、この限りでない。
  3. ⑶ ⑴により示すべき電磁的方法の種類及び内容は、次に掲げるものとする。

    1. ① 次に掲げる方法のうち、送信者が使用するもの

      1. (ア) 電子情報処理組織を使用する方法のうち次に掲げるもの

        1. a) 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
        2. b) 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法
      2. (イ) 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法
      3. (ウ) 送信者が使用するファクシミリ装置と受信者が使用するファクシミリ装置とを接続する電気通信回線を通じて送信する方法
    2. ② ①(ア)又は(イ)の方法を使用する場合にあっては、ファイルへの記録の方式

2 電磁的方法

  1. ⑴ 商法571条2項に規定する電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものは、次に掲げる方法とする。

    1. ① 電子情報処理組織を使用する方法のうち次に掲げるもの

      1. (ア) 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
      2. (イ) 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法
    2. ② 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法
    3. ③ 送信者が使用するファクシミリ装置と受信者が使用するファクシミリ装置とを接続する電気通信回線を通じて送信する方法
  2. ⑵ ⑴①又は②の方法は、受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。

 

「標準運送約款及び標準内航運送約款の一部を改正する告示案」の概要

  1. ⑴ 改正商法に対応する改正

    1. ① 改正商法591条において、旅客の生命又は身体の侵害による運送人の損害賠償責任に関する特約禁止と例外的な取扱いが規定された。標準運送約款においても、旅客に関する運送人の責任について規定しているところ、改正商法と同様の改正を行い、当該運送人の責任について明確にする。
    2. ② 改正商法593条において、旅客の保管下にあることを鑑み、身の回り品の滅失等について、携帯手荷物と同様に取り扱うことと整理された。現行、標準運送約款の手回り品については既に携帯手荷物と同様の整理であるが、立証責任について異なる規定となっていることから改正商法と同様の改正をすることとする。
    3. ③ 改正商法571条において、荷送人が知らせるべき情報として、荷送人及び荷受人の氏名又は名称並びに発送地及び到達地が追加された。現行、標準内航運送約款についても、荷送人は運送人に対し、契約締結前に貨物の種類等について通知義務が規定されているところ、通知すべき内容について追加する。
    4. ④ 改正商法573条において、運送品が不可抗力によって滅失したときに加え、運送品が損傷した時についても、運送人は運送賃を請求できないこととされた。これに伴い、標準内航運送約款においても、同様の改正を行うこととする。
    5. ⑤ 改正商法585条において、運送品の滅失等の運送人の責任が、1年の消滅時効から1年の除斥期間に改められ、損害発生後に限り、合意延長が可能となった。これに伴い、標準内航運送約款においても、貨物の滅失等を知らなかった場合の運送人の責任について、1年の消滅時効にかかる旨規定しているところ、当該滅失等に係る運送人の責任について、1年を除斥期間とすることとする。また、損害発生後に限り、1年の除斥期間を合意により、延長することができることとする。
    6. ⑥ 改正商法572条において、危険物に関する通知義務についての規定が設けられた。現行、標準運送約款及び標準内航運送約款においても、運送品が危険品等であるとき、運送人に対し、危険品等である旨の通知義務が荷送人に課されているところ、改正商法と同様、荷送人は当該危険品等の安全な運送に必要な情報についても通知しなければならないこととする。
    7. ⑦ 改正商法577条において、高価品について、その種類や額を荷送人が運送人に申告しない場合は免責されるというこれまでの規定に加え、高価品の特則として、運送人が高価品であることを知っていた場合等は免責されない旨の規定が設けられた。標準運送約款及び標準内航運送約款についても、改正商法と同様、運送品が高価品であることを運送人が知っていた場合など、運送人が免責されない場合について規定する。
  2. ⑵ 時代の変化に対応する改正

    1. ① 標準運送約款において、旅客の義務として禁止行為を規定しているところ、船員等への職務妨害についても禁止行為であることを明確化する。
    2. ② 標準運送約款において、高価品については車体の積載荷物のみの申告及び運送責任を規定しているところ、車体についても同様の扱いとする。
    3. ③ 標準運送約款における自動車等について、運送契約の申込みの拒絶や運送契約の解除をする場合について規定されているところ、自動車等が不適切な構造であるなど、標準内航運送約款で運送契約の申込みの拒絶等が規定されている場合についても標準運送約款に追加することとする。
    4. ④ 標準内航運送約款において、貨物の滅失等に関する損害賠償額を規定しているところ、新たに貨物が延着した場合の損害賠償額を規定する。
    5. ⑤ 標準運送約款及び標準内航運送約款において、旅客や荷主等が当該標準運送約款及び当該標準内航運送約款を守らなかった場合について、賠償責任を負うことと規定しているところ、法令を守らなかった場合も賠償責任を負うことについて明確化する。
    6. ⑥ 標準運送約款及び標準内航運送約款において、運送品が危険品等であるとき、運送人に対し、危険品等である旨の通知義務が荷送人に課されているところ、危険品等の種類について書き分けることとする。
    7. ⑦ 標準運送約款及び標準内航運送約款において、運航の中止・変更等について規定しているところ、災害時の緊急輸送や旅客の禁止行為等に伴う航路変更について追記する。

 

 

  1. 法務省、「商法施行規則の一部を改正する省令案概要」に関する意見募集(2月4日)
    http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080178&Mode=0
  2. ○ 意見募集要領
    http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000183087
  3. ○ 商法施行規則の一部を改正する省令案概要
    http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000183088
  4.  
  5. 法務省、商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律について(平成30年6月20日)
    http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00219.html
  6. ○ 新旧対照条文
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/02/001261326.pdf
  7.  
  8. 国交省、標準運送約款及び標準内航運送約款の一部を改正する告示案に関する意見募集について(1月17日)
    http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155191001&Mode=0
  9. ○ 標準運送約款及び標準内航運送約款のあり方に関する検討会の開催状況
    http://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_fr3_000029.html

 

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