◇SH2353◇三菱マテリアル、製品検査データ改竄をめぐるグループ・ガバナンス強化策の進捗を更新(2019/02/20)

未分類

三菱マテリアル、製品検査データ改竄をめぐる
グループ・ガバナンス強化策の進捗を更新

――グループ3社に関する有罪判決についても公表――

 

 非鉄金属大手の三菱マテリアルは2月12日、同社グループのガバナンス体制の強化策、同社グループの品質管理に係るガバナンス体制の再構築策・再発防止策等について最近の進捗状況を発表した。

 同社が当初「当社子会社における不適合品への対応状況について」と題するプレスリリースにより、連結子会社である(ア)三菱電線工業、(イ)三菱伸銅の一部製品について検査記録データの書換えなどがあったと発表したのは、2017年11月23日。「お客様の規格値又は社内仕様値を逸脱した」不適合品を出荷していたとするもので、両社を合わせた出荷先の合計は258社にのぼった。また、この段階では「いずれの案件についても、現時点で、法令違反行為及び安全性に疑義が生じる事案については確認されておりません」とするとともに、同様に連結子会社である(ウ)三菱アルミニウムにおいても「不適合品の出荷がありましたが、全てのお客様との間で安全性の確認は終了しております」と発表していた。

 同年12月1日には本事件の事実関係と原因の把握、再発防止策策定などのため、特別調査委員会の同日付設置を公表。親会社となる三菱マテリアルの社外取締役2名、日本能率協会の常務理事、三菱マテリアルの取締役副社長執行役員、同じく同社の経営戦略本部法務部長の計5名が委員に就任した。しかしながら同月19日、(ア)三菱電線工業には不適合品に関する新たな事案が判明したとして「検査の一部を実施していない」不適合品を出荷した事実を発表している。

 三菱マテリアルは同月28日、特別調査委員会による中間報告書を受領したとして公表。大手法律事務所の弁護士らに対して委託された、三菱伸銅調査委員会宛の調査報告書および三菱電線工業調査委員会宛の中間調査報告書が添えられ、「当社グループの品質管理に係るガバナンス体制の再構築策」としては(A)受注時のフロントローディングシステムの浸透、(B)品質管理部門の体制・権限の強化、(C)品質教育の拡充、(D)検査設備自動化の推進、(E)品質監査の強化、(F)外部コンサルタントの起用を掲げるものであった。

 翌2018年の2月8日、三菱マテリアルは(ウ)三菱アルミニウムに別件となる不適合品の出荷があったこととともに、やはり連結子会社となる(エ)立花金属工業(三菱アルミニウムの子会社、本社・大阪府大阪市北区)、(オ)ダイヤメット(本社・新潟県新潟市東区)においても同種の事案があったと発表。いずれの事件についても特別調査委員会の指示のもと、外部専門家を起用した調査を開始しているとした。

 三菱マテリアルは同年3月28日、特別調査委員会による最終報告書の受領について発表するとともに、これを公表。大手法律事務所弁護士らから特別調査委員会宛に27日付で編まれた(α)「三菱アルミニウム株式会社における不適切事象及び子会社管理上の問題点に関して」、(β)「ダイヤメット新潟工場における焼結製品の品質管理体制の実態について」を副題とする計2通の調査報告書とともに明らかにされたもので、これらを踏まえ、特別調査委員会としては三菱マテリアルの経営陣に対し「品質管理を含むグループガバナンスの強化等の措置により一層の危機感とスピード感をもって取り組」むことを求めていた。

 また同日には、三菱マテリアルとしても「当社グループのガバナンス体制強化策の策定」を公表しており、ここでは(1)ガバナンス関係事項に係る審議・報告・フォローアップ体制の強化、(2)管理部門における機能の強化及び事業部門との連携強化、(3)人材育成の強化、人材交流の活性化、(4)内部監査の強化、(5)事業最適化の観点からの検討を掲げたほか、監査役会からの報告として4項目からなる「監査役監査の実効性強化策」も紹介。このような「ガバナンス体制強化策」の公表後においては、同社では昨年5月・8月・11月とその実施状況をフォローアップした結果を公表してきた。

 今年2月12日付となる今般の発表はこれらを更新する最新のものと位置付けられ、プレスリリース記載の「別紙」資料によると、同社2019年3月期第3四半期末(昨年12月末)現在の実施状況として、たとえば上記(1)・(2)の観点から「実施中」とされるのは、①子会社ガバナンスの強化策の策定、②グループリスクマネジメントの導入、③グループガバナンス審議会の実施・モニタリングの3点。いずれも2019年3月期末まで継続し、次期以降①・③については継続運用・モニタリング、②では子会社へのGRP導入、導入後評価・改善へと進めていく予定となっている。上掲(A)〜(F)の「品質管理に係るガバナンス体制の再構築策」についても「品質問題の再発防止策」として掲げており、進捗の把握を可能としている。

 同社では今般の進捗発表に先立つ2月8日、製品検査データ改竄に絡む三菱電線工業・ダイヤメット・三菱アルミニウム関係の刑事裁判で有罪判決を受けたと発表(下掲 <各裁判の結果> 参照。いずれも昨年9月12日、東京地検が不正競争防止法違反(虚偽表示)の罪で起訴)。判決内容を厳粛かつ真摯に受けとめ、2度と同じ過ちを繰り返さないために「ガバナンス体制強化策」「品質管理に係るガバナンス体制の再構築策及び再発防止策」を引き続き誠実に遂行していくと表明した。

 

  1. <各裁判の結果>
  2. ■ 2月5日付東京簡易裁判所(中谷雄二郎裁判官)判決 〜 法人としてのダイヤメットに対し罰金5千万円(求刑どおり)、前社長に対し罰金2百万円(求刑どおり)。
  3. ■ 2月6日付東京簡易裁判所(小林裕行裁判官)判決 〜 法人としての三菱アルミニウムに対し罰金3千万円(求刑どおり)。
  4. ■ 2月8日付東京簡易裁判所(山中喜代志裁判官)判決 〜 法人としての三菱電線工業に対し罰金3千万円(求刑どおり)、前社長に対し罰金2百万円(求刑どおり)。
タイトルとURLをコピーしました