◇SH2483◇経産省、第2回 国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会 法務機能 強化実装WG 浜崎祐紀(2019/04/16)

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経産省、第2回 国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会
法務機能強化 実装ワーキンググループ

岩田合同法律事務所

弁護士 浜 崎 祐 紀

 

 昨年4月、経済産業省に設置された「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能のあり方研究会」より日本企業の法務機能の課題等に関する報告書(以下「本報告書」という)が公表された。その後、同研究会は、具体的な検討を進めるため「法務機能強化 実装ワーキンググループ」(以下「実装WG」という)を設置した。今回のテーマは、本年3月28日に開催された第2回実装WGとともに、本報告書の内容も一部取り扱う。

 

1 本報告書において指摘された課題

(1) 求められる法務機能

 本報告書は、以下の法務機能の必要性を指摘する。

  1. ① ガーディアン機能

    1. ・「合法かどうか」の判断だけでなく、ビジネス環境等を踏まえた上で、「正しいかどうか」を判断すること
    2. ・ グローバルレベルで変化する法規制に対し、自社ルール等を最適なものとすること
    3. ・ リスクを予防又は軽減する条件を織り込んだ契約書を作成すること
    4. ・ 第三者からの法的措置や不祥事に適切に対応し、自社の損害を最小限に抑えること
  2. ② パートナー機能

    1. ・ 契約交渉や新規プロジェクトに早期かつ積極的に参画することにより、ビジネス上の法的問題を把握し、課題解決に向けた具体的なソリューションを提案すること
    2. ・ 法令の観点からのリスクを指摘するだけでなく、ビジネスジャッジ(リスクコントロールを含む)に対する提案を行うこと
    3. ・ 法律や法解釈は、時代とともに変化することを前提に、法律が予定していない領域(グレー領域)でのビジネス拡大を目指していくこと

(2) 本報告書において指摘された課題

 本報告書は、以下の課題を指摘する[1]

  1.   経営層が、法務部門を、ルール策定や契約書チェック等の従来型の法務業務を担う単なるコスト部門と捉えているため、人材採用等の必要な投資が遅れている。経営層が法務機能を適切に評価し、有効活用するという発想が必要である。
  2.   事業リスクの評価は、経営層・事業部門と法務部門が一体になって行う必要があるところ、その意識は必ずしも十分に共有されていない。その結果、リスク分析が不十分なまま、重大なリスクを過小評価したり、逆に、リスクを過大評価し、事業推進を断念することがある。
  3.   リーガルリスクは、コントロールすれば取る余地のあるものがあるため、その全てを排除するのではなく、適切にコントロールする必要がある。
  4.   法務の責任者が経営会議に参画していないことによって法務の知見が経営上の意思決定に生かされていないことがある。
  5.   企業として向き合うべき法的リスクを認識し、分析するためには、専門性を持ったリーガルアドバイスが適切に経営層・事業部門に伝わるような組織体制が必要となる。

 

2 第1回実装WG

 本年2月22日開催。「現状認識」及び「経営から見る法務機能の理想像」が討議テーマとなる。

 紙面の都合上、詳細は割愛する。

 

3 第2回実装WG[2]

(事務局資料(2019年3月経済産業省)2頁より抜粋)

 

 第2回実装WGにおいては、パートナ―機能(partner function)としてのビジネスクリエイション(enable function)が討議テーマとされた(上図参照)。当該WGの資料上、法務機能強化の健全な成長モデルとしてビジネスクリエイションによる付加価値の提供が示唆されている。すなわち、ビジネスクリエイションの発揮により、ビジネスに付加価値が提供され、法務機能は企業価値向上の一翼を担うことになる。そして、法務機能の重要性が認知され、そこにリソースが配分され、ひいては法務機能の強化につながるという良い循環がもたらされることになる。

 他方で、アクシデントをきっかけに、リソースが配分され、法務機能が強化される場合もあるが、そのような強化は法務機能の成長にはつながらないと指摘されている。事業への好影響をもたらすわけではないため、法務機能は、単なるコストと認識されてしまうからである。

 

4 終わりに

 ビジネスのグローバル化、イノベーションの進展等により、複雑化・多様化するリーガルリスクに適切に対処するためには、法務機能がマネジメントやビジネスサイドにおいて有効に活用される必要がある。もっとも、マネジメントの関心事は企業価値の向上にあるため、法務機能がコストセンターとのみ認識される場合、その機能は十分に発揮されないこととなる。したがって、法務機能が企業価値の向上に結び付く必要があり、そのためには、法務機能が持つビジネスクリエイションの向上が一つの鍵になる。

以上

 


[1] 以下は、必ずしも全ての企業に共通する課題を示したわけではなく、そのようなケースや傾向があるということを意味している。

[2] 本稿作成日(4月15日)現在、第2回実装WGの議事録は公表されておらず、具体的な議事内容は不明である為、本稿は、公表された配布資料に基づく。

 

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