金融庁、金商法施行令・開示府令・開示ガイドライン等の改正で意見募集
――5月20日まで、株式報酬の開示規制見直しや臨報における監査人の異動に関する記載充実――
金融庁は4月19日、「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等を取りまとめたとして(1)金融商品取引法施行令、(2)企業内容等の開示に関する内閣府令(開示府令)、(3)企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)、(4)開示用電子処理組織による手続の特例等に関する留意事項について(電子開示手続等ガイドライン)の改正案を公表した。5月20日まで意見募集に付されている。
改正により(ア)株式報酬に係る開示規制の見直し、(イ)1月22日に公表された「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」(座長=八田進二青山学院大学名誉教授・大原大学院大学教授)による報告書「会計監査に関する情報提供の充実についてー通常とは異なる監査意見等に係る対応を中心としてー」を踏まえた見直し、(ウ)電子開示手続等を行う場合の電子証明書の使用に関する留意事項の見直しを図るもので、(1)施行令は上記(ア)に伴って改正されることになる。
(ア)では、労務の対価として一定期間の譲渡を制限した株式(譲渡制限付株式)を交付する企業が増加していることを踏まえ、次の2つの条件のもと、当該譲渡制限付株式の募集または売出しについてはストック・オプションと同様に有価証券届出書の提出を不要とし、臨時報告書の提出事由とする。①交付対象者が発行会社等の役員等に限られていること、②発行する株式に譲渡についての制限に係る期間が設けられていること。
(1)施行令では2条の12(募集又は売出しの届出を要しない有価証券の募集又は売出し)において従前「新株予約権証券等」の取締役等に対する取得勧誘または売付け勧誘等を規定していたが、改正案はこれを同条2号と位置付け、1号として「株券等(取締役等が交付を受けることとなる日の属する事業年度経過後三月(外国会社にあつては六月)を超える期間譲渡が禁止される旨の制限が付されているものに限る。)」を新設。(2)開示府令および(3)開示ガイドラインの改正案によれば、「勧誘の相手方と提出会社の間の取決めの内容」(開示府令改正案19条2項2号の2イ(5))がある場合には、たとえば「譲渡制限期間」「譲渡制限の解除の条件」「提出会社による無償取得」などの取決めの内容について臨時報告書に記載する。
上記(イ)は、監査人の異動に関して臨時報告書へ監査役等の意見を記載し、また、当該異動する監査人の意見をより積極的に記載できるようにする改正で、(2)開示府令の改正案によると、19条2項9号の4ハ(1)・(5)・(6)が改正の対象となっている。
また、開示府令19条2項9号の4ハ(4)に対応して開示ガイドライン24の5–23–2が新設され、ここでは、監査公認会計士等の異動に至った理由および経緯について「実質的な異動理由及び経緯について詳細に記載することに留意する」ものとされており、具体的な異動理由として、①連結グループでの監査公認会計士等の統一、②海外展開のため国際的なネットワークを有する監査公認会計士等へ異動、③監査公認会計士等の対応の適時性や人員への不満、④監査報酬、⑤継続監査期間、⑥監査期間中に直面した困難な状況、⑦会計・監査上の見解相違、⑧会計不祥事の発生、⑨企業環境の変化等による監査リスクの高まり、⑩その他異動理由として重要と考えられるもの――の10点が例示された。