◇SH2549◇LIXILグループ、現任者を含まない構成に刷新する取締役候補者を発表 (2019/05/22)

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LIXILグループ、現任者を含まない構成に刷新する取締役候補者を発表

――調査報告書公表に至った代表執行役の異動、経営権争いが激化する状況を踏まえ――

 

 住宅設備最大手のLIXILグループ(本社事業所:東京都千代田区、東証第一部・名証第一部上場)は5月13日、6月開催予定の定時株主総会で提案する取締役候補者を発表した。指名委員会等設置会社である同社において前日12日開催の指名委員会が決定、取締役会として13日、指名委員会での決定内容を支持することを決議したものである。本発表に絡み、同月14日には一部候補者について経歴の訂正が、17日には追加候補者1名の決定が発表されている。

 同社経営陣に関する2018年11月1日付の異動を巡っては、これを決定した同年10月31日の取締役会決議について、同社とは第三者となる弁護士が監査委員会の調査補助者として実施した事実調査に係る調査報告書の全文が開示され、当該決議を「適法であり、有効である」と評価した(詳細について、SH2511 LIXILグループ、代表執行役の異動を巡り調査報告書を公表 (2019/04/26)既報)。しかしながら、複数の株主から(1)本件異動により取締役・取締役会議長兼代表執行役会長兼CEOに就任した創業家の潮田氏による誤解を招く説明に起因しているなどコーポレートガバナンス・コードに従った適正かつ適切な指名手続が行われなかったと考えられること、(2)当時指名委員会の委員長であった山梨氏がガバナンス不全を正すこともなく、自らをCOOに選任し、その手続につき十分な説明も行っていないことなどを理由として、今年3月20日付の書面により同社に対し、当該2取締役の解任を目的とする臨時総会の招集が要請されていた(同社3月22日付発表による)。

 同社は、4月17日には機関投資家を含む株主16名による臨時株主総会の招集許可申立てに係る申立書の送達を東京地裁から受けたと発表。翌18日には潮田氏・山梨氏の辞任等を発表し、臨時総会の招集請求に関しては、潮田氏・山梨氏の両者から「(株主との間で)本定時株主総会を間近に控えた現時点における臨時株主総会の開催の是非について対話を行い、本請求の取下げ等を求める旨の意向が示されて」いるとした。

 その後、5月9日には上記・総会招集請求を撤回する旨の書面が同日付で提出されたと発表。一方で、昨年11月1日付の異動によりCEO職を解かれた瀬戸氏(取締役・代表執行役社長に就任後、今年4月1日付で取締役。6月開催予定の定時総会までが任期)および現取締役の伊奈氏(昨年10月31日までの前職は、取締役兼報酬委員会委員)の2株主が定時総会における議案として「取締役8名選任の件」を求める株主提案を行っていることが同社4月19日付発表により明らかにされており、同提案で2株主は社外取締役候補者として4名、社内取締役候補者として自身らを含む4名の計8名を一括して選任することを要請している(以下「本件株主提案」という)。

 5月13日の取締役候補者の発表はこのような状況下、同社指名委員会においても「経営権を巡る争いが激化する異例の状況に置かれており……かかる混乱を一刻も早く収束させるべく」との認識のもと、「(指名委員の一人ひとりが)『企業価値・ 株主共同の利益の確保』の観点から、真摯な検討を行った」とする声明とともに示されており、指名委員会名による詳細な「取締役候補者の決定・指名理由及び提言」を公表。「指名委員会での真摯な審議の結果、当社が提案する取締役候補者は、現任取締役を含まない構成に刷新することが相当であるとの結論に至りました」として社外7名・社内1名(現執行役副社長)の計8名全員を新任候補者とするもので、併せて(1)当社の取締役会体制に関する基本的な考え方、(2)当社指名委員会が選定した本定時株主総会の取締役候補者と指名理由、(3)本件株主提案に係る取締役候補者の一部(8名のうち鬼丸氏、鈴木氏を除く6名)を指名しない理由、(4)本定時株主総会以降の代表執行役(社長・CEO)を含めた当社の執行体制に関する基本的な考え方を明記。

 上記(1)においては、いわば “同社の取締役会のあり方” を(ア)監督と執行の分離、(イ)独立社外取締役の比率引上げ、(ウ)取締役会の規模、(エ)機関投資家株主およびステークホルダーとの対話をも踏まえた取締役会候補者の選定といった観点から具体的に述べており、たとえば(エ)では「当社取締役会に求められる機能、新任取締役候補者に求められる資質(スキルセット)」として、①独立社外取締役を中心とした取締役会構成(執行からの独立、創業家影響力の廃除、非執行社内取締役の削減)、②上場企業、特に製造業の経営経験者の登用(社長・CEO経験者)、③海外M&Aや海外事業・海外子会社のリスク管理に関する知見・経験、④大規模な持株会社の社長・CEO経験者、⑤経営の連続性の確保、⑥財務会計に関する知見、⑦内部統制の強化(当社子会社における不適切な取引行為の発生を踏まえた、監査委員会、内部監査部、子会社監査役との連携強化)ーーという7点の要素を掲げる。

 続く(2)では、社外取締役候補者については株主提案されている候補者も含めた全員と指名委員会が独自に面談を行ったとしたうえで、候補者それぞれについて4点の指名理由を挙げており、上述のような「基本的な考え方」に沿って指名委員会の選定が行われたことが把握できる内容となっている。

 

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