◇SH2573◇企業会計審議会監査部会で改訂監査基準の公開草案原案が明らかに (2019/05/31)

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企業会計審議会監査部会で改訂監査基準の公開草案原案が明らかに

――意見の根拠の記載や守秘義務の明確化、改訂中間監査基準等の原案も示される――

 

 企業会計審議会監査部会(部会長=伊豫田隆俊甲南大学教授)は5月21日、第44回会合を開催し、公開草案の原案となる(1)監査基準の改訂について(公開草案)、(2)中間監査基準の改訂について(公開草案)、(3)四半期レビュー基準の改訂について(公開草案)を提示した。正式な公開草案として意見募集に付されたのち、企業会計審議会(会長=徳賀芳弘京都大学副学長・教授)名による「監査基準の改訂に関する意見書」等として公表されることになる。

 当日の会合で明らかになった原案のうち(2)および(3)は、昨年7月の監査基準の改訂(企業会計審議会「監査基準の改訂に関する意見書」2018年7月6日公表による同月5日付「監査基準の改訂について」による)を踏まえ、中間監査報告書および四半期レビュー報告書の記載内容を見直すもの。年度の監査報告書において「意見の根拠」の区分や「監査上の主要な検討事項」の記載欄を新設した昨年の監査基準改訂では、記載内容の明瞭化・充実を図る観点から、記載順序の変更なども行われた。

 上記(2)による中間監査報告書の記載内容の変更もこのような監査基準改訂を受けたかたちとなっており、①冒頭に「中間監査意見」を記載する、②新たに「意見の根拠」の区分を設ける、③「経営者の責任」を「経営者及び監査役等の責任」に変更するとともに、④記載順序の変更を行う。(3)による四半期レビュー報告書の記載内容の変更も同様で、①冒頭に「監査人の結論」を記載する、②新たに「結論の根拠」の区分を設ける……などの変更となる。

 改訂中間監査基準は2020年9月30日以後終了する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から実施、改訂四半期レビュー基準は2020年4月1日以後開始する事業年度に係る四半期財務諸表の監査証明から適用となる見通しである。

 また上記(1)は、昨年の監査基準改訂を踏まえつつ「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」(座長=八田進二青山学院大学名誉教授・大原大学院大学教授)による報告書「会計監査に関する情報提供の充実についてー通常とは異なる監査意見等に係る対応を中心としてー」(2019年1月22日公表。以下「充実懇の報告書」という)における提言をも踏まえて見直そうとするもので、監査人による監査に関する説明および情報提供の一層の充実を図る観点から、(ア)監査報告書の意見の根拠の記載の明確化、(イ)監査人の守秘義務の明確化を行う。

 (ア)の見直しでは、現行の監査基準によっても①意見の除外により限定付適正意見を表明する場合には、「監査報告書の意見の根拠の区分において『除外した不適切な事項及び財務諸表に与えている影響』を記載する中で、不適正意見ではなく限定付適正意見と判断した理由についても説明がなされることを想定している」ものの、「特に限定付適正意見の場合に関し、なぜ不適正意見ではなく限定付適正意見と判断したのかについての説明が不十分な事例が見られるとの指摘」を受け、監査基準上、意見の根拠の区分の記載事項として「除外した不適切な事項及び財務諸表に与えている影響」とともに「これらを踏まえて除外事項を付した限定付適正意見とした理由」を記載しなければならないことを明確化。

 加えて同様に、②監査範囲の制約により限定付適正意見を表明する場合には、監査基準上、意見の根拠の区分において「実施できなかった監査手続及び当該事実が影響する事項」とともに「これらを踏まえて除外事項を付した限定付適正意見とした理由」を記載しなければならないことを明確にする。

 上記(イ)の見直しは、監査人が財務諸表利用者に対して説明・情報提供を行う際に問題となりうる守秘義務との関係を巡り、そのあり方を改めて検討したうえで、①公認会計士法に定める守秘義務の対象「業務上取り扱つたことについて知り得た秘密」(同法27条)と、②現行の監査基準における「業務上知り得た事項」(同基準「第二 一般基準」の8)との用語の整合性を確保しようとするもの。具体的には「秘密を対象にするものであることを明確にする」ため、監査基準の文言を「業務上知り得た秘密」と改めることになる。

 改訂監査基準は、2020年3月決算に係る財務諸表の監査から実施するものとされる見通しである。

 

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