◇SH3001◇ODR活性化検討会、取りまとめに向けて審議が進む――紛争解決に向けたビッグデータ活用等も紹介、最終取りまとめは2月下旬予定 (2020/02/12)

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ODR活性化検討会、取りまとめに向けて審議が進む

――紛争解決に向けたビッグデータ活用等も紹介、最終取りまとめは2月下旬予定――

 

 ODR活性化検討会(座長・山田文京都大学教授)は1月31日、第5回会合を開催した。

 同検討会は、成長戦略フォローアップ(令和元年6月21日閣議決定)を受け、紛争の多様化に対応したビジネス環境整備としてオンラインでの紛争解決(Online Dispute Resolution. ODR)など、IT・AIを活用した裁判外紛争解決手続などの民事紛争解決の利用拡充・機能強化に関する検討を行うために設置・開催されたものである(発足の趣旨、構成メンバー、運営要領などについて、SH2813 第1回「ODR活性化検討会」が開催――オンラインによる紛争解決の利用拡充を検討、基本方針につき年度中に結論 (2019/10/08)既報)。2月下旬開催の次回・第6回会合において最終取りまとめが予定される(予備日として、3月下旬の日程も想定)。

 9月27日の初会合以降、10月23日に第2回、11月15日に第3回と会合をかさね(SH2909 日本経済再生本部、ODR活性化検討会(第3回) 大久保直輝(2019/11/28)参照)、昨年最終の会合となった12月25日の第4回会合では「ODRのアイデア募集・ヒアリングのお願い」と題する資料を明らかにしていた。本検討会の事務局を務める内閣官房「日本経済再生総合事務局ODR活性化検討会担当」名により「特定の紛争分野でODRを活用することで、泣き寝入りをなくす、紛争解決に利用可能な選択肢が増える、低コストで効率的な紛争解決を実現する、紛争の予防につながる、などのアイデアをご提案ください」と応募を呼びかけるもので、上記「ヒアリング」については「応募いただいた中から、企画内容や課題認識等が具体的な段階に至っているご提案に対し、改めてヒアリングのお願いをさせていただきます(1月末を予定)」としていた。

 今般の会合では、引き続いての議題となる 1)「ODR活性化に向けた推進策」につき、今回は中小企業庁により「下請けかけこみ寺におけるODRの取組」が紹介されるとともに、2)「紛争解決に向けたビッグデータの活用」が取り上げられたのが特徴的である。

 中小企業庁によると、「下請けかけこみ寺」は公益財団法人全国中小企業振興機関協会が本部として全体を統括し、各都道府県の公益財団法人である産業支援センター等の協力を得て、本部および全国47都道府県に平成20年度から設置されている。下請取引や消費税の転嫁など企業間取引に係る各種相談への対応や裁判外紛争解決(ADR)手続を実施しており、相談費用や調停費用は無料として、ADR手続による簡易・迅速な紛争解決を支援。平成30年度の相談件数は8,381件にのぼり、弁護士無料相談件数は513件、ADRによる調停受理件数は18件で、うち4件で和解が成立した。

 今後の対応として、①オンラインサービス(SNS、チャットボット等)を活用した相談の円滑化・質の向上、②相談内容、助言事項等を可及的速やかに相談窓口間で共有する仕組作りなどを「検討項目案」に掲げ、IT等の積極的な活用を通じて実現すべく、来年度から検討に着手するという。

 上記2の「紛争解決に向けたビッグデータの活用」では、A)あいおいニッセイ同和損害保険株式会社により「テレマティクスデータを活用した事故対応」、B)レクシスネクシス・ジャパン株式会社により「判決情報のデータベース化 民間のニーズ、諸外国での取組について」がそれぞれ紹介された。

 Aはデータを事故対応に活用することで、事故解決の迅速化を図るもの。Bでは「判例情報の統計・分析ソリューション」2種類の紹介を通じ、「特定分野でのODR、ADRを推進するモデルケースになり得るだけではなく、裁判プロセスのオンライン化推進や一定の判断基準の共有により、紛争解決手段の拡大と効率化にも期待ができる」と、わが国で活用する場合のメリットが述べられた。

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