◇SH3003◇経産省、「事業再編研究会」を立ち上げる――スピンオフ等による事業再編の「実務指針」を取りまとめへ(2020/02/13)

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経産省、「事業再編研究会」を立ち上げる

――スピンオフ等による事業再編の「実務指針」を取りまとめへ――

 

 経済産業省は1月29日、「事業再編研究会」(座長=神田秀樹・学習院大学大学院教授)を立ち上げることを公表した。

 第4次産業革命による産業構造の急激な変化に対応し、グローバル競争の中で、イノベーションによる付加価値創出を通じて生産性の向上を実現していくためには、貴重な経営資源をコア事業の強化や将来の成長事業への投資に集中させていくことが重要であるとされる。

 こうした成長投資を積極的に行うためにも、スピンオフ(=既存の子会社の株式又は切り出した事業を承継させた子会社の株式を、株主に対して、その保有株式数に応じて交付することにより、当該子会社または事業を切り離し、経営を独立させる仕組み)や事業売却等によるノンコア事業の切出しが重要となる。経産省によると、わが国でも、一部の企業では積極的に取り組む事例が出てきているものの、大企業全体としては、必ずしも十分に行われていないのが現状であるとされる。

 従来の事業再編を促進するための施策は、特に事業の切出しに関しては、日本の経営者の決断と実行への動機づけとしては必ずしも十分ではないとの指摘があった。また、わが国のコーポレート・ガバナンス改革は、こうした事業再編を始めとした果断な経営判断を促す「攻めのガバナンス」を重視して、成長戦略の一環として進められてきたものであるが、形式論にとどまっている場合も少なくないとの指摘もあったところである。

 このような問題意識から、昨年12月に未来投資会議が取りまとめた「新たな成長戦略実行計画策定に関する中間報告」では、「スピンオフを含めた事業再編促進のための環境整備」として、「取締役会の監督機能の強化等の在り方について指針をとりまとめる」こととされた。

 こうした動きを踏まえ、経産省では、日本企業のスピンオフ等による積極的な事業再編を促すため、経営陣、取締役会(特に社外取締役)および投資家の3つのレイヤーを通じてガバナンスの力が有効に発揮される仕組みを構築するための具体的な方策(ベストプラクティス)について検討し、実務指針を取りまとめるため、今般、「事業再編研究会」を立ち上げることとしたものである。

 本研究会では、日本企業において事業ポートフォリオの新陳代謝、特にノンコア事業の切出しが進みにくい背景・要因を明らかにした上で、事業再編を積極的に行っている企業の取組みを参考にしつつ、経営陣における適切なインセンティブ、取締役会による監督機能の発揮、投資家とのエンゲージメントへの対応、事業評価の仕組みの構築と開示等の在り方について検討を行うこととしている。

 第1回会合は1月31日に開催され、第2回は2月14日に開催予定とされている。第3回以降は月1~2回程度開催し、その検討結果は5月末を目途に報告書(実務指針案を含む)として取りまとめ、これに基づき、6月末を目途に実務指針を策定する予定である。

 

 

  1. 経産省、「事業再編研究会」を立ち上げます
    https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200129002/20200129002.html
  2. ○ 委員等名簿
    https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200129002/20200129002-1.pdf
  3. ○ 未来投資会議「新たな成長戦略実行計画策定に関する中間報告」(令和元年12月19日)
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/02/saisyuu.pdf
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