◇SH0195◇消費者契約法専門調査会のポイント(第3回) 児島幸良(2015/01/23)

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消費者契約法専門調査会のポイント(第3回)

森・濱田松本法律事務所

弁護士 児 島 幸 良

 平成27年1月16日、内閣府消費者委員会において、第3回消費者契約法専門調査会が開催された。以下、その概要を報告する。なお、本報告において、意見に亘る部分は、全て報告者の私見である。 

1 配付資料

 以下の資料が配付された。

 ①資料1  「第2回消費者契約法専門調査会で出された主な御意見の概要」

 ②資料2  「消費者契約法専門調査会の当面の予定(案)」

 ③資料3  「消費者契約法における契約締結過程の規律とその周辺-議論のためのたたき台」(丸山絵美子委員提出資料)

 なお、これらの資料は、平成27年1月19日付で内閣府消費者委員会のウェブサイト(http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/other/meeting5/003/index.html)で公表されているので、詳細はそちらを参照されたい。

2 議事内容

 (1) まず、資料1に基づいて、第2回の消費者契約法専門調査会で出された意見の概要が紹介された。

 (2) 次に、資料2に基づいて、消費者契約法専門調査会の今後の開催予定等について説明があった。

 (3) さらに、資料3に基づいて、丸山委員から、契約締結過程における規律のあり方を中心に、説明がなされた。

3 質疑応答及びフリーディスカッション

 (1) 資料3に基づきなされた説明に関する質疑応答及びフリーディスカッションがなされた。

 (2) 質疑応答及びフリーディスカッションでは、次のような意見ややりとりがあった。

  a  消費者契約法4条1項ないし3項の「勧誘をするに際し」要件の削除について

  •  広告が全て消費者契約法による取消しの対象となることにならないか。
  •  スーパーの商品のパッケージに広告があり、その広告を作成したのはメーカーである場合にも当該スーパー(小売業者)が責任を負うのか。→メーカーが不実表示をしたような場合は、消費者契約法4条1項ではなく5条の問題になると思われる。
  •  特定商取引法との関係を十分整理して議論すべき。

      b  消費者契約法4条4項の重要事項における限定列挙の削除について

  •  全くの削除ではなく一定の限定は必要ではないか。

      c  消費者契約法4条1項2号の断定的判断の提供について

  •  資料3の提案に基本的に賛成。但し、「金額その他の」という金銭的な要件を外すか否かは慎重な検討を要するのではないか。

      d  消費者契約法4条2項の不利益事実の不告知について

  •  資料3の提案と情報提供義務違反による取消しとの関係を整理する必要がある。
  •  先行行為の認定をせずに不利益事実の不告知を認める裁判例も存在する。

      e   消費者契約法4条3項の困惑取消権の改正について

  •  資料3の提案に賛成だが、例示として不退去と退去妨害のみ挙げるのは誤解を招くかもしれない。

       f   状況濫用取消権の創設について

  •  適合性の原則に基づく取消しのようになるため、消費者が未成年者や高齢者である場合に限定すべきではないか。→未成年者・高齢者でない消費者でも問題のある状況に陥っている相談事例はいくつもある。
  •  状況濫用は暴利行為ともいえるところ、何故民法90条の公序良俗違反で無効とせず取消しとするのか。
  •  困惑取消権との関係を整理する必要があると思われる。

      g   情報提供義務違反、誤認取消し規定について

  •  資料3の提案に賛成。
  •  取消権のみならず損害賠償規定も設けるべき。
  •  自分に必要な情報は自分で集めるという大原則の転換を正当化するためには、単に情報提供義務に違反しただけではなく信義則等の+αの要件が必要であると思われる。→金融商品販売法が手がかりになるのではないか。
  •  不実告知との関係を整理する必要があると思われる。

       h   その他

  •  消費者公序の規定を設けることを検討すべき。
  •  業法違反と民事効の関係を整理すべき。
  •  相談事例で使いやすい消費者契約法を望む。
  •  事業者が現実に対応できる改正とすべき。

以  上

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