◇SH2716◇国交省・国税庁等、飲料配送中に貨物が毀損した場合の取扱いの明確化に係る「飲料配送研究会報告書」を公表――国交省は標準貨物自動車運送約款の適用細則を定める(2019/08/08)

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国交省・国税庁等、飲料配送中に貨物が毀損した場合の取扱いの明確化に係る「飲料配送研究会報告書」を公表

――国交省は標準貨物自動車運送約款の適用細則を定める――

 

 国土交通省、国税庁、農林水産省、経済産業省および中小企業庁は7月26日、「飲料配送研究会報告書」を公表した。同研究会は、飲料配送の関係者や法律の専門家等を構成員として、飲料配送に係る商品の毀損範囲の決定や、毀損した商品の廃棄の費用負担などについて、本年2月から議論を重ねてきたものである。

 飲料については、配送中に荷崩れ等が発生した場合、炭酸漏れ等の商品の毀損状況が外観から判断しづらい面があり、商品に毀損が生じた場合における毀損範囲の決定や毀損した商品の費用負担などについて、荷送人又は荷受人と運送事業者の間でトラブルが発生するケースがあるとされている。

 これは、飲料配送に関わる関係者間で、毀損範囲の決定や、廃棄の費用負担などに関して、法律や標準貨物自動車運送約款を踏まえるとどう処理すべきかについて、これまで十分な整理がされていなかったことに起因する面も大きいとされている。

 このため、今般、本研究会において、荷崩れ等に際しての処理に関して、法律や標準貨物自動車運送約款も踏まえて、本報告書を取りまとめたものである。本報告書は、荷崩れ等が発生した際に、標準貨物自動車運送約款に従うとどのように処理をすべきか、当該約款の適用について明確化している。

 なお、国交省では、本報告書とあわせて、飲料配送中に貨物が毀損した場合において、標準貨物自動車運送約款の適用細則を定めて公表している。

 また、今後、飲料配送における貨物の毀損等が発生した場合には、本報告書等に沿った処理がなされるよう、関係省庁等と連携して飲料配送の関係事業者に周知を行うこととしている。

 以下、本報告書の概要を紹介する。

 

「飲料配送研究会報告書」の概要

  1. ⑴ 包装資材(段ボール)の扱い
  2. ・ 商品である中身が毀損していなければ、包装資材に傷や汚れがあっても、輸送・保管等に支障をきたす場合を除いて、そのままの似姿で販売することは許容されるべき。
     
  3. ⑵ 貨物の既存範囲の判断
  4. ・ 包装資材の外観等から毀損範囲を推定する場合は、飲料メーカーにおいて合理性のある判断基準を作成して予め運送事業者との間で共有し、それに従って毀損範囲を決定(報告書では判断基準例を提示している)。
  5. ・ 判断基準が作成・共有されていない場合は、必ず運送事業者と協議の上、毀損範囲を決定。
     
  6. ⑶ 廃棄の費用負担に関する基準
  7. ・ 毀損に伴う損害賠償の対象範囲は、実際に毀損している商品。
  8. ・ ⑵のように、包装資材の外観等から毀損範囲を推定する場合は、予め共有された判断基準によって推定される毀損範囲を損害賠償の対象範囲とする方法もとりうる。
  9. ・ 民法(422条)や判例から、運送事業者が貨物の全額を賠償した場合、運送事業者が貨物の所有権を取得する。
  10. ・ ブランド信用力の維持等の観点から毀損貨物を運送事業者に引き渡さない場合は、飲料メーカーがその所有権を得てから行うこととし、具体的には、①飲料メーカーが運送事業者から相当程度に減額された金額で買い戻す又は②そもそも運送事業者が賠償する価額を相応に減額された金額とする。また、これを契約で明文化する。この場合において、廃棄処理等を飲料メーカーが行う場合は、廃棄費用は飲料メーカーが負担。
     
  11. ⑷ 相談窓口の設置と問題事例への対応
  12. ・ 飲料団体及び運送団体は、相談窓口を整備。
  13. ・ 今後も定期的に本研究会を開催し、問題事例を協議。
     
  14. ⑸ その他
  15. ・ 運送事業者に運送以外の役務を依頼する場合は、追加の料金として明確化する必要がある。
  16. ・ 荷送人がより質の高い運送を求める場合は、付加的な輸送対価として、明確化する必要がある。

 

  1. 国土交通省等、飲料配送中に貨物が毀損した場合の取扱いの明確化へ!~「飲料配送研究会報告書」等の公表~(7月26日)
    http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000191.html
  2. ○ 報道発表資料
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/08/001300893.pdf
  3. ○(別紙)飲料配送研究会報告書の概要について
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/08/001300892.pdf
  4. ○ 飲料配送研究会報告書(全文)
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/08/001300891.pdf
  5. ○ 飲料配送中に発生した貨物の毀損等に関する取扱いについて(貨物自動車運送事業法に基づく標準貨物自動車運送約款の適用細則)
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/08/001300895.pdf
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