◇SH0248◇消費者契約法専門委員会のポイント(第6回) 児島幸良・須藤克己(2015/03/10)

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消費者契約法専門調査会のポイント(第6回)

森・濱田松本法律事務所

弁護士 児 島 幸 良

弁護士 須 藤 克 己

 平成27年3月6日、内閣府消費者委員会において、第6回消費者契約法専門調査会が開催された。以下、その概要を報告する。なお、本報告において、意見に亘る部分は、すべて報告者の私見である。

1.配布資料

以下の資料が配布された。

資料1    第5回消費者契約法専門調査会で出された主な御意見の概要

資料2    法務省提出資料

       2-1    民法(債権関係)の見直し

       2-2    民法(債権関係)の改正に関する要綱

資料3     後藤準委員提出資料

              消費者契約法の見直しについての意見

資料4     河野康子委員提出資料

                消費者契約に関する意識調査

2.議事内容

 (1) まず、資料1に基づいて、第5回の消費者契約法専門調査会で出された意見の概要が紹介され、その確認が行われた。

 (2) 次に、資料2に基づいて、参考人の法務省筒井民事法制管理官から、民法(債権関係)の改正についての概要説明がなされ、当該説明に対する質疑が行われた。

 (3) 続いて、資料3に基づいて、後藤準委員より、主に小規模事業者の立場からの消費者契約法の改正に係る意見を中心に説明がなされ、当該説明に対する質疑が行われた。

 (4) さらに、資料4に基づいて、河野康子委員より、全国消団連が行った消費者契約に関する意識調査の結果が報告され、当該報告に対する質疑が行われた。

3.質疑応答及びフリーディスカッション

 (1) 法務省筒井民事法制管理官の説明について

 ① 定型約款は主に付随条項についての定めであり、その変更は付随条項の変更を念頭に置いているという理解でよいか。

 →解釈によるが、定型約款の定めは中心的とか付随的という区別を持ち込んでいないように思われる。定型約款の変更に関して、付随的ではない変更は往々にして相手方の利益という点においても、合理的な変更かという点においても何かしら疑問が出てくるのではないかと思われる。

 ② みなし合意の規定のうち、第28-2-(2)(不当条項規制)については、消費者契約法第10条との関係はどうなるか。たとえば、消費者契約法10条で無効だという主張がなされた場合に、第28-2-(2)でそもそもそのような合意をしていなかったのだという反論が成り立つのか。

 →両者の関係は選択的なものと理解している。

 ③ 暴利行為が改正項目から落ちた理由はなにか。

 →暴利行為については、抽象的には存在する法理と認識しているが、明文化するにあたりいくつかの立場から意見があり、合意形成に至らなかった。

 ④ 短期消滅時効の規定が無くなるが、消費者にとって証票(レシート)の長期保管が難しいという実情がある中、レシートを長期に保管しておかないといけなくなるという懸念はないだろうか。どのような議論があったのか。

 →短期消滅時効制度については、メリット・デメリットがあるが、全体的な視点で、できる限り規定をシンプルにしたものである。

 ⑤ 定型約款の定義中、「不特定多数」としているが、「特定多数」については約款規制の枠内に入れることを想定していないのか。

 →現時点で「不特定多数」という言葉を使用したのは、相手方の個性が問題とならないものという意味である。

 (2) 後藤準委員の説明について

 ① グレーリストという表現が誤解を生じさせているのかもしれないが、例外的に有効なものであるということなのだが。

 →有効となる条件を具体的に示してくれないと現場の事業者が判断に困る。

 ② この改正によりこれまで不明瞭だったものが明確になると思っている。

 →明確になるのであれば必ずしも反対するものではないが、(小規模事業者として)過度に負担感があるものは困る。

 ③ 消費者概念の拡張は、逆に小規模事業者にプラスになるのではないか。

 →あるときは(小規模事業者が)消費者になり、あるときはならないというのは困る。

 ④ 大量生産・大量消費の中であっても、正当な事業活動を行っているのであれば、とくに消費者契約法に抵触することはないのであり、(小規模事業者として)懸念することはないのではないか。

 ⑤ 不招請勧誘について、事業者の規模で規定を変えるという考えはあり得ると思うか。

 →可能性としてはあり得ると思う。

 →それでは、例えば、小売りで、大規模な量販店と小規模な販売店で法の適用が変わるとなれば、消費者としてはより法律の保護が強い大規模量販店に行こうという気にならないか。(小規模事業者に消費者契約法の適用がないとなれば、むしろ小規模事業者にとって不利にならないか。)

 →取り扱いを異にしてほしいというのは、小規模事業者に対し、書類等の手続きを緩和してほしいとの趣旨である。

 (3) 河野康子委員の報告について

 ① P8,P10に具体例を示して回答を求めているが、バイアスが回答者にかかっていないか。

 →回答者が「確かにこれはありそうだ」というような事例を取り上げてみたものである。

 ② 2002年の内閣府調査結果と比較しているが、男女構成比が異なったり回答者の属性に偏りがある。立法事実の視点で、この回答結果を消費者に不安が大きいという基礎事情に使えるかという点については、リサーチの専門家に意見を求めておくべきである。

 ③ センターが、予め募集した人に対しアンケートを依頼したというのであれば、その人たちは意識が高い人たちのはずである。その人たちが、(契約締結時の説明などについて)わかりづらいという意見を持っていることは参考になった。

4.その他

 (1) 次回開催予定:平成27年3月17日(火)13時~

 (2) 山本敬三座長より、規則により非公開とすることも可能であるので、資料は幅広に提出してほしいとの意見が出された。

以上

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