企業内弁護士の多様なあり方(第15回)
-第6 仕事の形態(上)-
野村證券法務部政策調査課
山 本 雅 子
第6 仕事の形態
1 仕事の形態を考察する際の視点
企業内弁護士の採用や配属をめぐる環境は年々多様化しており、事業部門に属する部署など法務部門以外で業務を行うケースも増えている。
このように、企業内弁護士の仕事の形態について語るとき、各企業内弁護士が所属する部署、企業内での当該部署の役割、企業内での当該弁護士のポジション等の様々な要素に配慮することなく語ることは出来ないが、ここでは典型的な法務部門における仕事の形態について、法律事務所と比較しながら考察する。
2 単独VSチーム一体
「単独」VS「チーム一体」とは、企業内弁護士の所属する企業の法務部門の業務のやり方に関する相違であり、法務部門と企業内の他部門との関わり方についての差異である。
(1) 単独とは、法務部門と他部門の関わり方として、法務部門のみが単独で存在し、事業部門の要請に応じてリーガルチェックを行うというスタイルである。この場合、法務部門の業務の契機としては、事業部門から契約書審査や法律相談等があった場合にのみ業務が発生し、さらには業務のやり方も検証を依頼された契約書やスキームについて事業部門が提示した事実関係を前提として、法律的な面に限って検証するという極めて受身的なスタイルになりがちである。
この場合、法務部門は、企業内において事業部門とは距離をおき、一種遊離した状態で書面審査のみを行いリーガルオピニオンを出すケースが多い。そして、極論ではあるが法務部門の役割の中心は、リーガルオピニオンを出すこと自体であり、そのリーガルオピニオンが事業部門によってどのように活かされるのかについては事業部門の問題であり、法務部門としてはやるべきことはやっているとして線引きをし、関心を払わないケースも見受けられる。
その意味では、法務部門は事業部門とは独立して企業内第三者的色彩で法務部門単独で仕事を行っている色彩が強く、法務部門と事業部門との関係は、外部の法律事務所との関係に比較的類似しているといえる。
(以下、次号)