◇SH1451◇監査役協会、「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」を改定(2017/10/23)

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監査役協会、「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」を改定

--監査法人のガバナンス・コードへの対応等--

 日本監査役協会は10月13日、「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」を改定し、公表した。

 同実務指針は、監査役協会が平成27年11月10日に公表していたものであるが、金融庁が今年3月31日に「監査法人の組織的な運営に関する原則」(以下、「監査法人のガバナンス・コード」)を策定したことを受け、今般、改定を行ったものである。

 本実務指針の構成は、以下のようになっている。

 

○「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」の構成

はじめに

 第1 本指針の趣旨及び位置付け
 第2 評価基準策定に際しての留意点
 第3 選定基準策定に際しての留意点
 第4 本指針の利用に際して

第1部 会計監査人の評価基準策定に関する実務指針
 第1 監査法人の品質管理
 第2 監査チーム
 第3 監査報酬等
 第4 監査役等とのコミュニケーション
 第5 経営者等との関係
 第6 グループ監査
 第7 不正リスク

第2部 会計監査人の選定基準策定に関する実務指針
 第1 監査法人の概要
 第2 監査の実施体制等
 第3 監査報酬見積額

付録
 「会計監査人の評価基準項目例の時系列表示」
 監査調書例
 用語解説
 参考図
 

 監査役協会によると、「監査法人のガバナンス・コードは、大手監査法人を念頭に、組織としての監査の品質の確保に向けた原則を扱っており、監査法人の品質管理の状況を確認・評価するに際しては有用なものである」として、「本実務指針も、監査法人のガバナンス・コードの実施を受けて、会計監査人の評価及び選定に当たり必要と考えられる項目を織り込んだ」としている。

 今回の改定に際しては、監査役協会の会計委員会(委員長=岡田譲治・三井物産常勤監査役)で検討を行い、監査法人のガバナンス・コードへの対応に加え、公認会計士・監査審査会の検査結果通知書の記載内容の紹介、現場の監査チームやグループ監査について、評価項目の充実を図ったとされている。

 以下、今回の改定における主な変更点を紹介する。
 

○ 改定版「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」の主な変更点

第1部 会計監査人の評価基準策定に関する実務指針

第1 監査法人の品質管理

「評価項目1-1」に以下を加える。
 (略)平成29年3月には監査法人の組織的な運営に関する原則(以下、「監査法人のガバナンス・コード」という。)が制定・実施され、組織としての監査の品質確保に向け取り組むべき原則と指針が定められ、原則や指針の中で明示すべき事項が挙げられている。また、監査法人に対し、関係者との積極的な意見交換とともに、監査法人のガバナンス・コードの適用状況や監査品質の向上に向けた取組状況について、一般に閲覧可能な文書で外部に説明することが求められている。監査法人の品質管理体制を評価するに際しては、監査法人のガバナンス・コードの適用状況を参考にして監査法人と積極的な意見交換を行うことが望ましい。

 

関連する確認・留意すべき事項

「1①品質管理に関する責任」に以下を加える。

  1. ・ 監査法人は、実効的な経営機関を設け、組織的な運営が行われているか。また、経営機関の構成員の選任は適切に行われているか。
  2. ・ 監査法人は、経営機関による経営機能の実効性を監督・評価する機関を設け、その役割を明確にしているか。また、監督・評価機関の構成員の選任は適切に行われているか。
  3. (略)
  4. ・ 監査法人は、以下の事項を含めて、監査の現場からの必要な情報等を適宜共有し、経営機関等の考え方を監査の現場まで浸透させる体制を整備しているか。
    -被監査会社の経営陣及び監査役等との間での監査上のリスク等についての意見交換、並びに監査の現場における被監査会社との間での十分な意見交換。
  5. (略)
  6. ・ 監査法人は、品質管理の向上に向けた取組を継続的に行い、定期的にその実効性の評価を行っているか。

 

「1④監査実施者の採用、教育・訓練、評価及び選任」に以下を加える。

  1. (略)
  2. ・ 監査法人は、監査実施者が共通に保持すべき価値観やそれを実践するための考え方や行動の指針を有しているか。また、人員配置や育成のためのローテーションなどにおいて、構成員の士気を高め、職業的懐疑心や職業的専門家としての能力を十分に保持・発揮させるような工夫を行っているか。
  3. ・ 監査法人は、監査実施者が会計監査をめぐる課題や知見、経験を共有し、積極的な議論を行う、開放的な組織文化・風土を醸成するための工夫を行っているか。

 

「4」「5」を新設する。

4 監査法人は、理事長などの監査法人における最高経営責任者又は理事会等の取組を監督・評価する機関を設置し、かつ必要な情報が提供される体制となっているか。

5 監査法人は、内部及び外部からの通報に関する方針や手続を整備し、伝えられた情報を活用しているか。

 

第2 監査チーム

評価項目2-3
「関連する確認・留意すべき事項」に「11」を新設する。

11 監査報告書、その他関連する報告書等の作成過程で、監査役等と適切な意見交換がなされ、報告書等の内容が意見交換を踏まえたものとなっているか。

 

第6 グループ監査

評価項目6-1
「関連する確認・留意すべき事項」の「3」「4」を改める。

3 会計監査人と他の監査人との意思疎通や情報共有に問題はないか。

4 (略)他の監査人が把握した重要な虚偽表示リスク、不正リスク、不正の兆候、課題等が会計監査人に速やかに伝達される体制を確保しているか。

 

  1. ○ 監査役協会、改定版「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」を公表(10月13日)
    http://www.kansa.or.jp/news/briefing/post-389.html
  2. ○ 改定版「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」
    http://www.kansa.or.jp/support/el001_171013_1a.pdf
  3. ○ 新旧対照表
    http://www.kansa.or.jp/support/el001_171013_2a.pdf


 

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