SH4547 法務省、区分所有法制の改正に関する中間試案に関する意見募集を開始(3日) 藤並知憲(2023/07/18)

取引法務不動産法

法務省、区分所有法制の改正に関する中間試案に関する
意見募集を開始(3日)

岩田合同法律事務所

弁護士 藤 並 知 憲

 

1 はじめに

 法務省は、令和5年7月3日、法制審議会区分所有法制部会(以下「部会」という。)で取りまとめられた「区分所有法制の改正に関する中間試案」(以下「中間試案」という。)に関するパブリック・コメントの手続を開始した。

 以下では、中間試案の概要等について解説する。

 

2 中間試案の背景(現行法の課題)

 我が国では、老朽化した区分所有建物が増加するとともに、区分所有者の高齢化が進み、区分所有建物の所有者が不明となったり、区分所有建物の非居住化が進行している。また、地震や豪雨、竜巻などの災害が多発しており、今後、大規模な災害の発生可能性も高まっているといわれる。

 区分所有建物を適切に管理し、また、老朽化した区分所有建物の再生を行うためには、区分所有者の集会決議により適宜の意思決定を行う必要があるが、現行の建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)では、所在等が不明の区分所有者(以下「所在等不明区分所有者」という。)や、集会に出席せず議決権も行使しない区分所有者(以下「欠席者」という。)は、集会に出席して反対した者と同様に扱われるため、決議に必要な賛成を得ることができず、円滑な管理が阻害される懸念がある。また、区分所有建物の再生については、建替えのためには区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数の賛成が必要であり(区分所有法62条1項)、決議に必要な賛成を得ることも困難であるとされる。

  このような背景から、区分所有法制の見直しに向けた部会における議論を経て、今般、中間試案に関するパブリック・コメントの手続が開始されるに至った。

 

3 中間試案の概要

 中間試案では、上記課題を念頭に、大きく分けて、①区分所有建物の管理の円滑化を図る方策、②区分所有建物の再生の円滑化を図る方策、③団地の管理・再生の円滑化を図る方策、及び④被災区分所有建物の再生の円滑化を図る方策に関する提案が示されている。本稿では、紙幅の都合上、区分所有建物一般に適用される上記①及び②を取り上げたい。

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(ふじなみ・とものり)

岩田合同法律事務所弁護士。2014年慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2015年弁護士登録。ジェネラル・コーポレートを中心に企業法務に従事するほか、商事関係訴訟、商事非訟、民事調停、保全・執行事件等を含めた、幅広い紛争対応業務を取り扱っている。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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法務省、区分所有法制の改正に関する中間試案に関する意見募集を開始(3日)
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080295&Mode=0

「区分所有法制の改正に関する中間試案」(令5年6月8日)取りまとめ
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00204.html

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