SH3381 金融庁、「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会(第1回)」を開催 柏木健佑(2020/11/12)

取引法務担保・保証・債権回収

金融庁、「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会(第1回)」を開催

岩田合同法律事務所

弁護士 柏 木 健 佑

 

1 事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会について

 金融庁は、令和2年11月4日、「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」(以下「本研究会」という。)第1回の議事次第を公表した。本研究会は、価値ある事業の継続を支えられるような望ましい融資・再生実務のあり方について、金融機関に事業の継続や発展を支援する適切な動機付けをもたらすような包括担保法制等の可能性を含めて検討することを目的として設置された。金融庁が事務局を務め、金融、企業再生関連分野の有識者、実務家らから構成されている。本研究会第1回の議事録は未公表であるが、本稿では、公表された議事次第や参考資料から窺われる本研究会の問題意識や今後の議論の方向性について解説を行う。

 

2 本研究会設置の背景

 近年の金融行政においては、事業者の多様な資金ニーズに対応するために金融機関が顧客との関係性(リレーション)・顧客の事業理解を深めることが重視されてきた。金融庁の「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」(令和元年12月)において「単なる資金の貸付けにとどまらず顧客に付加価値を提供する取組みや、かつてのように財務データや担保・保証の有無を過度に重視した融資から、貸出先の事業の将来性や将来のキャッシュフローから返済可能性を評価した融資のあり方に立ち戻るような取組み」を望ましいものとして採り上げていることもその一例である。このように顧客の事業の理解を重視する貸し手の重要性が増していることに加え、新型コロナウイルスの影響を受けた事業再生の局面や中長期的なデジタル・トランスフォーメーションの進展・地域産業活性化にも対応できるような新たな制度が求められているとの認識を背景として本研究会が設置された。

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(かしわぎ・けんすけ)

岩田合同法律事務所パートナー。2005年東京大学法学部卒業。2007年弁護士登録。ファイナンス関連業務を中心に多様な企業法務を取り扱う。主な著作・論文として、『CFOのための想定問答集』(共著 旬刊経理情報1344号 2013年)、『アブラハム・プライベートバンク事件などを踏まえた投資助言業務の分析』(共著 旬刊商事法務2019号 2013年)。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>

1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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