SH3484 経産省、「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(別冊)実施事例集」を策定 関口彰正(2021/02/12)

組織法務株主総会

経産省、「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド
(別冊)実施事例集」を策定

岩田合同法律事務所

弁護士 関 口 彰 正

 

1 「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(別冊)実施事例集」の策定

 経済産業省は、昨年2月26日に「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」(以下「実施ガイド」という。)を策定し、今月3日、ハイブリッド型バーチャル株主総会の更なる実務への浸透を図ることを目的として、2020年の株主総会における実施事例や実際の運用における考え方等を示した「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(別冊)実施事例集」(以下「事例集」という。)を策定した[1]

 事例集においては、ハイブリッド参加型バーチャル株主総会[2]と同出席型バーチャル株主総会[3](以下、前者を「参加型」といい、後者を「出席型」という。)の共通の論点及び出席型固有の論点に分け、実例の紹介と共に解説がなされている。取り上げられている論点は以下のとおりである。

 

参加型・出席型共通の論点

出席型固有の論点

  1. ① バーチャル株主総会の配信方法
  1. ① 配信遅延への対応
  1. ② 取締役等のバーチャル出席
  1. ② 通信障害対策
  1. ③ インターネット等で出席する取締役等の議決権の行使
  1. ③ 本人確認(なりすまし対策を含む)
  1. ④ 株主のバーチャル参加・出席の事前登録
  1. ④ 株主総会の出席と事前の議決権行使の効力の関係
  1. ⑤ インターネット等の手段による株主への周知等
  1. ⑤ 質問の受付・回答方法
  1. ⑥ 肖像権等への配慮
  1. ⑥ 動議の取扱い
  1. ⑦ リアル株主総会の会場
  1. ⑦ 賛否の確認方法

 

 先月、参加型・出席型共通の論点について解説がなされているため[4]、今回は出席型固有の論点に絞って解説をする。

 前提として、出席型に出席した場合、会社法上株主総会に「出席」したものとすることを想定している。そして、インターネットを介して株主総会に出席することについては、株主総会の開催場所と株主との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されている環境が必要と解されている[5]。以下で解説する論点は、当該要件を満たす観点から、又はリアル株主総会の運営との比較の観点から想起される論点と整理できるであろう。

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(せきぐち・あきまさ)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2014年慶應義塾大学法学部卒業。2015年弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>

1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

<連絡先>

〒100-6315 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング15階 電話 03-3214-6205(代表)

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