SH3935 経産省、産業構造審議会知的財産部会不正競争防止法小委員会 第15回会合――営業秘密を不正取得された企業の立証責任の負担軽減を議論 関口彰正(2022/03/11)

取引法務営業秘密・機密情報管理

経産省、産業構造審議会知的財産部会不正競争防止法小委員会
第15回会合
―営業秘密を不正取得された企業の立証責任の負担軽減を議論――

岩田合同法律事務所

弁護士 関 口 彰 正

 

1 産業構造審議会知的財産部会不正競争防止法小委員会の設置趣旨等

 2022年2月28日、産業構造審議会知的財産部会不正競争防止法小委員会(以下「本委員会」という。)の第15回目の会合(以下「本会合」という。)が開催された。本委員会は、安心してデータをやり取りでき、データの創出・収集・分析・管理などに対して、開発などの投資に見合った適正な対価を得ることができるような環境の整備を目的として、不正競争防止法(以下「不競法」という。)の法改正に向け、不競法上の論点を審議する場として設置された[1]

 

2 不競法5条の2の趣旨等

 本会合ではさまざまな論点が取り上げられたが、そのうちの一つとして、不競法5条の2(技術上の秘密を取得した者の当該技術上の秘密を使用する行為等の推定に関する規定)について議論がされている。

 不競法5条の2は、(ⅰ)営業秘密[2]にあたる技術上の秘密(ただし、生産方法および情報の評価又は分析の方法[3]に限る[4]。以下同じ。)が(ⅱ)不正取得[5]された場合に、(ⅲ)取得した者が、当該技術上の秘密を使用する行為により生ずる物の生産又は当該技術上の秘密を使用して評価し若しくは分析する役務の提供(以下「生産等」という。)をしている場合には[6]、不正に取得した技術上の秘密を使用したものと推定するものである。これは、営業秘密の使用は、通常侵害者の内部領域(工場、研究所等)で行われることが多く、営業秘密の被侵害者が、侵害者による営業秘密の使用を立証することが極めて困難な場合も多いこと、また、技術上の秘密を不正取得した者は当該秘密を使用することが通常であるとの経験則を踏まえ、被侵害者の立証責任の負担を軽減するものである。

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(せきぐち・あきまさ)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2014年慶應義塾大学法学部卒業。2015年弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>

1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

<連絡先>

〒100-6315 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング15階 電話 03-3214-6205(代表)

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