法務省、「マンションの管理組合等における集会の開催について」を公表
――新型コロナウイルス感染症の影響により区分所有法上の集会を開催できなくなった場合の考え方――
法務省は6月8日、「マンションの管理組合等における集会の開催について」を公表した。
これは、新型コロナウイルス感染症の影響により、管理者が選任された管理組合又は管理組合法人において、前年の開催から1年以内に建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」)上の集会の開催をすることができなくなった場合についての考え方を示したものである。
それによると、区分所有法では、管理者又は理事が、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならないとされ、集会において毎年1回一定の時期にその事務に関する報告をしなければならないとされているが(同法34条2項、43条、47条12項、66条)、法務省は「前年の開催から1年以内に必ず集会の招集をし、集会においてその事務に関する報告をすることが求められているわけではありません」としている。
したがって、「今般の新型コロナウイルス感染症に関連し、前年の集会の開催から1年以内に区分所有法上の集会の開催をすることができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後、本年中に集会を招集し、集会において必要な報告をすれば足りる」ものと考えられるとしている。
さらに、公益財団法人マンション管理センターが公表している、「新型コロナウイルス感染拡大における通常総会開催に関するQ&A」及び「新型コロナウイルス感染拡大におけるITを活用した総会・理事会の開催に関するQ&A」を参照するようにとしている。これらのQ&Aは、通常総会を書面決議で行う方法、通常総会を延期する場合の手続、ITを活用した集会の開催等について、考え方を明らかにしているものである。
以下、これらのQ&Aの「Q」部分を紹介する。
【新型コロナウイルス感染拡大における通常総会開催に関するQ&A】
- Q1 新型コロナウイルスに関する注意喚起が続いている中で、通常総会を開催する場合の留意事項は何ですか。
- Q2 通常総会を開催せずに書面による決議を行うことは可能ですか。
- Q3 通常総会の開催を管理規約に定めた期間から延期してもよいですか。
- Q4 通常総会の開催を延期することを理事会で決定してよいですか。
- Q5 通常総会を延期する場合にはどのような手続きが必要ですか。
- Q6 通常総会の開催を延期した場合は法律違反となりますか。
- Q7 通常総会を延期した場合には、管理会社との委託契約はどのように更新するのですか。
【新型コロナウイルス感染拡大におけるITを活用した総会・理事会の開催に関するQ&A】
- Q1 区分所有法における集会の開催について、ITを活用することはできますか。
- Q2 区分所有法では集会の開催について、第45条1項で「(略)区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる」としていますが、当管理組合は総戸数が多いこともありこれを採用することが非常に困難な状況です。現下の状況においては、「区分所有者全員の承諾を得なくてはならない」とする要件を、規約によって緩和することはできませんか。
- Q3 当管理組合の管理規約では、ITを活用した理事会開催を認める規定がありませんが、現下の状況では参集して理事会を開催することが困難であることから、ITを活用した理事会の開催を検討しています。事態収束後には総会を開催し、管理規約に当該規定を設けることについて追認を得ようと考えていますが、そのような方法が可能でしょうか。
法務省、マンションの管理組合等における集会の開催について(6月8日)http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00024.html
○公益財団法人マンション管理センターのHP
https://www.mankan.or.jp/
○「新型コロナウイルス感染拡大における通常総会開催に関するQ&A」(3月27日)
https://www.mankan.or.jp/cms-sys/wp-content/uploads/2020/03/20200327-CORONA-QA.pdf
○「新型コロナウイルス感染拡大におけるITを活用した総会・理事会の開催に関するQ&A」(5月20日)
https://www.mankan.or.jp/cms-sys/wp-content/uploads/2020/05/20200520-CORONA.pdf