◇SH3234◇金融庁、「四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」を公表――企業会計基準委の議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」の更新を踏まえて(2020/07/14)

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金融庁、「四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する
企業情報の開示について」を公表

――企業会計基準委の議事概要「会計上の見積りを行う上での
新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」の更新を踏まえて――

 

 金融庁は7月1日、「四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」を公表した。

 

 金融庁では、新型コロナウイルス感染症に関して、5月21日に「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」を公表しているところである。これは、企業会計基準委員会が公表した議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」(4月10日公表、5月11日追補)を踏まえて、有価証券報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について、①財務情報における追加情報の開示、②非財務情報(記述情報)の開示、③有価証券報告書レビューによる対応、をまとめたものである(後掲の別稿参照)。

 

 そして今般、企業会計基準委員会が公表した議事概要の更新(6月26日)を踏まえ、金融庁は「四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」を公表したものである。これは、四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について、①四半期報告書の提出期限、②財務情報(追加情報)の開示、③非財務情報(記述情報)の開示、をまとめたものである。

 

 以下、この概要を紹介する。

 

▽四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示

(1) 四半期報告書の提出期限

 金融庁では、4月17日に「企業内容等の開示に関する内閣府令」等を改正し、4月20日から9月29日までの期間に提出期限が到来する有価証券報告書、四半期報告書等について、企業側が個別の申請を行わなくとも、その提出期限を一律に9月末まで延長している。

(2) 財務情報(追加情報)の開示

 6月26日、企業会計基準委員会の議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」が更新され、四半期決算における考え方が示されている。

 更新された議事概要では、前年度の財務諸表において、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する追加情報の開示を行っている場合で、四半期決算において当該仮定に重要な変更を行ったときは、「他の注記に含めて記載している場合を除き、四半期財務諸表に係る追加情報として、当該変更の内容を記載する必要があるものと考えられる」とされている。

 また、前年度の財務諸表において仮定を開示していないが、四半期決算において重要性が増し新たに仮定を開示すべき状況になったときは、「他の注記に含めて記載している場合を除き、四半期財務諸表に係る追加情報として、当該仮定を記載する必要があるものと考えられる」とされている。

 さらに、前年度の財務諸表において当該仮定に関する追加情報の開示を行っている場合で、四半期決算において当該仮定に重要な変更を行っていないときも、「重要な変更を行っていないことが財務諸表の利用者にとって有用な情報となると判断される場合は、四半期財務諸表に係る追加情報として、重要な変更を行っていない旨を記載することが望ましい」とされている。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りの仮定について、その後の経営環境の変化を踏まえ見直しを行った結果として、会計上の見積りに変更が生じた場合には、四半期財務諸表において、当該見積りの変更の影響を反映する必要がある点に留意が必要である。

(3) 非財務情報(記述情報)の開示

 四半期報告書における非財務情報(記述情報)では、前事業年度の有価証券報告書における会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について「重要な変更があった場合には、その旨及びその具体的な内容を分かりやすく、かつ、簡潔に記載すること」とされている。ただし、この内容を財務情報である追加情報において開示した場合には、非財務情報の開示ではその旨を記載することによって省略することができる。

 また、会計上の見積り以外においても、「事業等のリスク」における新型コロナウイルス感染症の影響や対応策の変更、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況」における新型コロナウイルス感染症の影響による経営方針・経営戦略の見直し等、前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更があった場合には、四半期報告書において、当該変更の具体的な内容を記載することが求められる。

 四半期報告書の非財務情報(記述情報)において、前事業年度の有価証券報告書からの重要な変更を記載する場合には、「新型コロナウイルス感染症の影響に関する記述情報の開示Q&A」(5月29日)に示されたポイントが参考になると考えられる。

 なお、有価証券報告書の財務情報(追加情報)及び非財務情報における新型コロナウイルス感染症の影響に関する開示については、有価証券報告書レビューの対象としているところ、四半期報告書の財務情報(追加情報)及び非財務情報における当該開示についても、有価証券報告書レビューの一環として、必要に応じて確認する。

 

 

金融庁、「四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」の公表(7月1日)
https://www.fsa.go.jp/news/r2/sonota/20200701.html

○(別添)「四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/07/01.pdf

○企業会計基準委、議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(2020年6月26日更新)」
https://www.asb.or.jp/jp/info/91074.html

 

参考

SH3110 金融庁、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を踏まえて有価証券報告書等の提出期限を一律に9月末まで延長(2020/04/21)

SH3182 金融庁、「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」を公表――企業会計基準委の「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症に関する開示の考え方」を踏まえ(2020/06/04)

SH3190 金融庁、「新型コロナウイルス感染症の影響に関する記述情報の開示Q&A-投資家が期待する好開示のポイント-」を公表――ルールへの形式的な対応にとどまらない開示の充実に向けて(2020/06/10)

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