経産省、「社外取締役の在り方に関する実務指針」を策定
岩田合同法律事務所
弁護士 池 田 美奈子
1 はじめに
経済産業省は、令和2年7月31日、 コーポレート・ガバナンス・システム研究会(第2期)における議論等を踏まえ、新たに「社外取締役の在り方に関する実務指針(社外取締役ガイドライン)」(以下、「本ガイドライン」という。)を公表した。昨今では社外取締役の人数・割合が増加してきている一方、役割認識が明確になっておらず、形式的な導入にとどまっているのではないか等の指摘もなされていることを踏まえ、本ガイドラインは、コーポレートガバナンス改革をより実質的なものとすることを目的として、東京証券取引所市場第一部・市場第二部の上場企業の社外取締役を対象としたアンケート及び42名の社外取締役に対するインタビューの結果を基に、実務的な視点から、社外取締役の在り方についてのベストプラクティスを取りまとめたものとなっている。本ガイドラインの位置付けについては、下図とおりである。
(本ガイドライン7頁より抜粋)
2 社外取締役の心得
本ガイドラインは、主に上場企業の社外取締役を対象として、会社法及び東証のコーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえつつ、第1章で、社外取締役としての役割や心構えとして特に重要な点について、第2章で、社外取締役として期待される役割を果たすための具体的な行動の在り方について、実務的な視点からそれぞれ整理されている。第1章の役割及び心構えは以下の5つの心得にまとめられており、いずれも至当というべき内容である。
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(いけだ・みなこ)
岩田合同法律事務所アソシエイト。日本及び米国(NY州)弁護士。2007年東京大学法学部卒業。2009年University of Michigan Law School修了(LL.M.)。2010年早稲田大学法科大学院修了。約4年間、海事専門法律事務所に所属し、海事案件の経験も豊富に有する。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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