成長戦略会議、「実行計画」をとりまとめる
――バーチャル株主総会の関連法案を2021年の通常国会に提出する等――
政府の成長戦略会議は12月1日、「実行計画」をとりまとめた。
成長戦略会議は、「経済財政諮問会議が示す経済財政運営と改革の基本方針等の下、我が国経済の持続的な成長に向け、成長戦略の具体化を推進するため」、開催することとされたものである(議長=加藤勝信・内閣官房長官、副議長=西村康稔・経済再生担当大臣と梶山弘志・経済産業大臣、その他有識者で構成)。同会議では、廃止された「日本経済再生本部」および同本部の下で開催された「未来投資会議」が行った検討等について、引き継ぐものとされている。
同会議は、10月16日に初会合を開催し、12月1日の第5回会合で、今般の「実行計画」のとりまとめに至った。「実行計画」は、7月17日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太方針2020)」に基づき、主な施策項目について、同会議における有識者の意見を聴取して中間的な取りまとめを行ったものとされており、「最終とりまとめに向けて、与党の意見等も聞きながら、議論を行っていく」こととしている。
「実行計画」の構成は以下のようになっている。
第1章 はじめに
第2章 成長戦略の考え方
第3章 2050年カーボンニュートラルに向けたグリーン成長戦略
第4章 ウィズコロナ・ポストコロナの世界における我が国企業の事業の再構築
第5章 「人」への投資の強化
第6章 「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備
第7章 足腰の強い中小企業の構築
第8章 サプライチェーンの再構築
第9章 競争政策の在り方
第10章 イノベーションへの投資の強化
第11章 防災・減災、国土強靱化
第12章 「新たな日常」に向けた地方創生
第13章 「新たな日常」を支える包摂的な社会の実現
第14章 新たな世界秩序の下で活力ある日本経済の実現
第15章 フォローアップ
以下では、「実行計画」のうち、大企業と中小企業との取引の適正化、バーチャル株主総会、コーポレートガバナンスに関する部分の抜粋を紹介する。
第7章 足腰の強い中小企業の構築
3 大企業と中小企業との取引の適正化
(1) 約束手形の利用の廃止に向けた行動計画の策定等
(略)産業界及び金融界による「約束手形の利用廃止に向けた行動計画」の策定を検討し、取組を促進する。
(2) 下請ガイドライン等の業種の拡大
下請取引適正化のための業種別ガイドラインについて、現在策定されている18業種から拡大する。また、業種別の自主行動計画についても、現在策定されている16業種から拡大する。
(3) 下請代金法、独占禁止法による優越的地位の濫用等の執行強化
独占禁止法及び下請代金法の執行について、公正取引委員会の執行体制強化を検討する。中小企業庁についても、(略)中小企業の取引の実態に関する情報収集を強化することを検討する。(略)
(4) 大企業と中小企業の連携促進(略)
第10章 イノベーションへの投資の強化
5 バーチャル株主総会の実現
我が国の会社法においては、株主が参集する実在の「場所」を設けずに、インターネット上のみで株主総会を開催することは認められていないため、①そこに参集する人数を減らしつつ、②当日の株主総会にインターネットを活用して、株主の参加を促すという実務的な工夫で対応している状況である。
ウィズコロナの中で、バーチャルオンリー型の株主総会(インターネット上のみで株主総会を開催)が米欧で認められていることに鑑み、我が国においても、来年の株主総会に向けて、バーチャル株主総会を開催できるよう、2021年の通常国会に関連法案を提出する。
6 国際金融都市の実現
(略)我が国の金融資本市場の魅力向上に向けて、(略)海外投資家も重視する社外取締役の質・量の向上、女性・外国人等の登用を通じた多様性の確保等を促すコーポレートガバナンス・コードの改訂や、市場間競争の確保を通じた市場全体の効率化・機能強化、プロ投資家の要件弾力化等を推進する。(略)
7 コーポレートガバナンス
(略)引き続き、取締役会の機能発揮を促すとともに、女性、外国人、異なる企業で働いた経験のある者等による多様性確保を図るなどのため、コーポレートガバナンス・コードの見直しを図る。
成長戦略会議、「実行計画」をとりまとめる(12月1日)
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/jikkoukeikaku_set.pdf
○成長戦略会議の開催状況
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/kaisai.html