SH3861 金融庁、「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」論点整理2.0の公表 小野塚格(2021/12/21)

取引法務担保・保証・債権回収

金融庁、「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」
論点整理2.0を公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 小野塚   格

 

1 はじめに

 このたび、金融庁より「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」論点整理2.0(以下「論点整理2.0」という。)が公表された。

 論点整理2.0は、令和2年(2020年)12月25日に公表された「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」論点整理を、公表後の「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」等における議論・検討等(以下「議論等」という。)を踏まえてアップデートするものである。

 

2 担保法改正の動向

 担保法については、現在、法制審議会の担保法制部会(以下「法制審」という。)が設置され、動産・債権を中心とした担保法制の見直しに向けた議論等が行われている。

 法制審における議論等の中心は、集合動産譲渡担保および集合債権譲渡担保を中心とした既存の非典型担保の法制化に置かれているが、事業のために一体として活用される財産等を包括的に担保目的とする新たな担保制度(以下「事業担保制度」という。)の導入の是非についても議論等が行われている。

 事業担保制度については、平成15年1月に発表された「企業法制研究会(担保制度研究会)報告書」において、その法制化が提言され、その後、法制審と座長を同じくする「動産・債権を中心とした担保法制に関する研究会」、中小企業庁が中心となって組成された「取引法制研究会」および金融庁が中心となって組成された「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」等において、議論等が重ねられてきた。

 特に「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」においては、事業担保制度を「事業成長担保権」と名付けて、これを中心に据えた議論等が行われてきており、法制審においても、基本的には「事業成長担保権」を念頭に置いた議論等が行われている。

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(おのづか・いたる)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。1999年早稲田大学法学部卒業。2004年早稲田大学大学院法学研究科修了。2005年弁護士登録(東京弁護士会)。事業再生・倒産処理案件を柱としつつ、M&A、危機管理、訴訟・紛争解決、労務、会計・税務等を組み合わせた総合的なリーガルサービスを提供している。東京弁護士会倒産法部有志を中心に組成された「担保法研究会」メンバー兼事務局。「担保法研究会」メンバーとして、別冊NBL178号「担保法と倒産・金融の実務と理論──担保法の検討課題」等において、事業再生・倒産処理の実務家の視点から担保法改正の方向性を検討した論稿を複数発表している。2016年度および2021年度東京弁護士会倒産法部事務局次長。杏林大学総合政策学部非常勤講師(倒産法および労働法)。

 

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