SH4445 先端半導体の製造関連製品に関する輸出貿易管理令等の改正案 後藤未来/伊藤雄太(2023/05/18)

組織法務経済安保・通商政策

先端半導体の製造関連製品に関する輸出貿易管理令等の改正案

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 後 藤 未 来

弁護士 伊 藤 雄 太

 

1 はじめに

  経済産業省は2023年3月31日、先端半導体の製造に関連する製品について、輸出貿易管理令(以下「輸出令」という。)および輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令(以下「貨物等省令」という。)の改正案(以下「本改正案」という。)を公表した(同年4月29日まで意見募集が行われた)。

 米国では、昨年来、先端コンピューティングや半導体関連製品等に関する対中向けの輸出規制を一層強化する動きが相次いでいる。米国は、この対中向けの禁輸措置をより実効的にするため、日本やオランダなどにも同様の対中輸出規制の枠組みを要請していたとされる[1][2]。明言されていないものの、今般の日本の本改正案も、そのような動きの一環であると理解するのが自然であろう。

 本稿では、日本の輸出管理規制の構造を概観しつつ、本改正案の概要を紹介する。

 

2 輸出管理規制の概観

 外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という。)上、日本においては、国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められる貨物または技術の輸出[3]または特定国への提供[4]を目的とする取引は経済産業大臣の許可を得る必要がある。

 この外為法に基づく規制は、大きく、いわゆる「リスト規制」と、「キャッチオール規制」から構成される。

 ⑴ リスト規制

 リスト規制では、武器ならびに大量破壊兵器等および通常兵器の開発等に用いられるおそれが高いものを輸出令別表第1(技術の場合、外為令別表)の1~15の項でリスト化し、このリストに該当する製品や技術のうち、一定の機能や仕様(スペック)を満たすものについて経済産業大臣の許可が必要とされる。

 ⑵ キャッチオール規制 

 キャッチオール規制は、リスト規制に該当しない物品であっても、もっぱら需要者や用途に着目し、大量破壊兵器や通常兵器の製造や開発に用いられるおそれがある場合には、経済産業大臣の許可を必要とするものである。

 キャッチオール規制は、さらに、大量破壊兵器キャッチオール規制と通常兵器キャッチオール規制に大別し得る。

この記事はプレミアム向け有料記事です
ログインしてご覧ください


(ごとう・みき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。

 

(いとう・ゆうた)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2017年東京大学法学部卒業。2019年東京大学法科大学院卒業。2020年弁護士登録(第一東京弁護士会)。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング

 


* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

タイトルとURLをコピーしました