SH3963 経済産業省・特許庁、「オープンイノベーション促進のためのモデル契約書(大学編)」および「モデル契約書(新素材編・AI編)ver2.0」を取りまとめ 清水亘/後藤柾哉(2022/04/05)

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経産省・特許庁、「オープンイノベーション促進のためのモデル契約書(大学編)」および「モデル契約書(新素材編・AI編)ver2.0」を取りまとめ

アンダーソン・毛利・友常法律事務所

弁護士 清 水   亘

弁護士 後 藤 柾 哉

 

1 はじめに

 経済産業省と特許庁は、2022年3月18日、大学と研究開発型スタートアップ、大学と事業会社との連携の促進を目的として、大学を当事者に据えた「モデル契約書(大学編)」を新たに取りまとめ、公表した[1]

 同時に、経済産業省と特許庁は、公表済みのモデル契約書(新素材編、AI編)の利便性を高め、より契約実務に馴染むようにすることを目的として、「モデル契約書Ver2.0(新素材編)」、「モデル契約書Ver2.0(AI編)」を公表した。

 

2 経緯および各モデル契約書の位置づけ

 ⑴ 経緯

 文部科学省と経済産業省は、「日本再興戦略2016」(2016年6月2日閣議決定)を踏まえて創設された「イノベーション促進産学官対話会議」の下に「産学官連携深化ワーキンググループ」を設置し、2016年11月30日、同ワーキンググループにおける議論を取りまとめた「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」を策定・公表した。

 その後、2020年6月、「科学技術基本法等の一部を改正する法律」が成立・公布されるとともに、上記ガイドラインが改訂され、「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン【追補版】」(以下、「ガイドライン追補版」という。)が公表された[2]。併せて、経済産業省と特許庁は、研究開発型スタートアップと事業会社との連携を促進する目的で、契約交渉時に留意すべきポイントを解説した「研究開発型スタートアップと事業会社のオープンイノベーション促進のためのモデル契約書Ver1.0」(以下、「モデル契約書Ver1.0」という。)を策定・公表した[3]

 ⑵ 各モデル契約書の位置づけ

 今般、公表された「モデル契約書(大学編)」は、上記「ガイドライン追補版」が提示した、大学および国立研究開発法人の保有する「知」に対して社会的な価値付け(値付け)を行うという考え方(下図参照)を実現する目的で策定されたものである。

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(しみず・わたる)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。東京大学法学部卒業。2005年弁護士登録(第一東京弁護士会。2012年愛知県弁護士会に登録替え)。主な取扱い分野は、知的財産法。

 

(ごとう・まさや)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。慶應義塾大学法学部卒業。2019年弁護士登録(東京弁護士会)。主な取扱い分野は、知的財産法、倒産法。

 

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