文化審議会著作権分科会国際小委員会(第2回)
――国境を越えた海賊版による著作権侵害への対応に関する議論の動向――
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 隈 大 希
1 はじめに
デジタル化・ネットワーク化の進展および高機能端末の世界的な普及によって、コンテンツは、国境を越えて瞬時・大量に拡散するようになった。これに伴い、海賊版による権利侵害の態様も変容している。具体的には、①侵害者は国内ではなく海外に存在するようになったこと、②組織犯罪から個人犯罪化していること、③消費者が海賊版へ容易にアクセスできるようになったことなどである[1]。こうした動きに対応すべく、第22回文化審議会著作権分科会国際小委員会(以下「本委員会」という。)では、「著作権保護に向けた国際的な対応の在り方」および「国境を越えた海賊版による著作権侵害に対する対応」について検討が進められている。直近の本委員会(令和4年11月21日)では、後者が主として検討されており、本稿では同日の委員会における議論状況を概観する。
2 海賊版による被害状況とこれに対する対応の現状等
⑴ 海賊版による被害状況
本委員会の公表資料によれば、海賊版サイトへの総訪問数の5年間(2017年7月~2022年7月)の推移は、下図のとおりである。
出典:文化審議会著作権分科会国際小委員会(第2回) 資料2-1
渡邉恵理子「日本におけるインターネット上の海賊版サイトの定量化と分析(2019年7月~2022年7月)」[2] 18頁
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。