公取委、「モバイルOS等に関する実態調査報告書」を公表
――アプリ流通サービスと併せて調査・評価、Google・Apple側見解も踏まえ「独占禁止法上の考え方」示す――
公正取引委員会は2月9日、「モバイルOS等に関する実態調査報告書」を公表した。
対象とした市場などは(A)モバイルOSとして「Android」「iOS」であり、(B)アプリ流通サービスとして「Google Play」「App Store」である。デジタルコンテンツ・サービスの市場規模拡大を背景とし、インターネット物販におけるスマートフォン経由の市場規模、スマートフォン経由率は増大(報告書9頁以下)。伴って、スマートフォンと連携して用いられる新たな商品・サービスの提供も拡大しており、一方で「スマートフォンは、他に代替するものがない機器である」状況がある(報告書11頁以下)。
今般の実態調査はこのような状況を踏まえて上記(A)および(B)につき、事業者の地位やシェアなどの市場構造、モバイルOS間・アプリ流通ルート間の代替の程度といった競争圧力の有無、両市場の競争状況がアプリ市場その他周辺市場における競争に与える影響などを明らかにするため(報告書4頁)、次の方法により行われた。(i)アプリ提供事業者に対する2022年3月4日~24日におけるアンケート調査(回答者数:596社、回収率:6.2%)、(ii)スマートフォンを利用する消費者に対する2022年2月7日~16日におけるアンケート調査(iOSユーザー・Androidユーザーそれぞれ1,000名)、(iii)モバイルOS提供事業者と取引関係があるスマートフォンメーカー、アプリ提供事業者、スマートフォン連携商品・サービスの提供事業者など23名に対する聴取調査、(iv)モバイルOS提供2事業者Google・Appleに対する書面質問等の送付などによる意見聴取、(v)専門的な知見を持つ有識者3名に対するヒアリング、(vi)公取委と同様に実態調査などに取り組むオーストラリア・イギリス・欧州委員会の競争当局との間における意見交換(以上、報告書5頁以下。事業者向けアンケートの詳細につき「報告書別紙1」を、消費者向けにつき「報告書別紙2」を参照)。
表紙を含めた全体で157頁建てとなる本報告書は「第1 調査趣旨等」「第2 消費者におけるスマートフォンの重要性の増大」「第3 モバイルOS、アプリストア、ブラウザの概要等」「第4 モバイルOS・アプリストアを提供する主要な事業者」「第5 モバイルOS市場及びアプリ流通サービス市場における競争圧力の評価に係る基本的視点」「第6 モバイルOS市場の競争環境」「第7 アプリ流通サービス市場の競争環境」「第8 独占禁止法上の観点からの検討」「第9 競争政策上の観点からの検討」「第10 終わりに」の全10章構成とされた。全体の建付け、各章の位置付けについては報告書5頁・上段「(3)本報告書の構成」の表形式による記載が把握しやすい。用いられる語については章の冒頭に掲げられている【本章のサマリー】においても取りまとめて定義されている。
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