関東財務局長、ソーシャルレンディング大手のmaneoマーケットに対する行政処分を行う
――ファンドの営業者側における資金の流用で、業務運営態勢の再構築などの業務改善命令――
関東財務局長は7月13日、ソーシャルレンディング大手のmaneoマーケットに対して行政処分を行った。
maneoマーケットについては、7月6日、証券取引等監視委員会が行政処分を求める勧告を行っていたところである。
1 証券取引等監視委員会による勧告
勧告によると、同社は、ウェブサイトにおいて、多数の事業会社を営業者とするファンドの取得勧誘(以下「プラットフォーム事業」)を行っている。同社は、平成28年10月5日以降、プラットフォーム事業においてグリーンインフラレンディング(以下「GIL社」)を営業者とするファンドの取得勧誘を行っており、平成29年12月末における当該ファンドの出資者数は3,084名、貸付残高は約103億円となっている。
今般の検査で、GIL社を営業者とするファンドにおいて、以下の問題が認められた。
(1) ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をした行為
同社は、GIL社を営業者とするファンドの取得勧誘において、ファンドごとに特定された太陽光発電所やバイオマス発電所等の再生可能エネルギー事業の開発資金等にファンド資金を支出する旨を表示しており、GIL社は調達した資金を主にGIL社の親会社である甲社の関係会社を経由して甲社に貸し付け、甲社が各種事業等に投融資を行っている。
しかし、甲社においては、ファンドから貸し付けられた資金及び自己の固有の事業に係る資金について、区分管理することなく、ほぼ全ての資金を1つの口座で入出金している状態となっている。検査において、甲社が、出資対象事業と異なる事業等へ支出している事例が多数認められた。
同社は、この間において取得勧誘を行ったファンドのウェブサイト上の資金使途の表示と実際の資金使途が同一となっているかについて確認せず、事実と異なる表示のまま取得勧誘を継続している。この結果、同社は、ファンドの取得勧誘に関して、虚偽の表示を行っているものと認められる。
(2) 同社の管理上の問題点
上記(1)の状況が看過されてきた原因は、同社においては、法令上、虚偽表示等の禁止行為が規定されているにもかかわらず、ファンド資金の使途等の確認を甲社の関係会社に一任し、甲社における資金管理の実態や資金の使途を把握できる管理態勢を構築していないことによるものと認められる。
勧告では、同社の「上記(1)の行為は、平成29年法律第37号による改正前の金融商品取引法38条8号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令117条1項2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示を(略)する行為」に該当するものと認められ」、また、「上記(2)の状況は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる」としていた。
2 関東財務局長による行政処分
これを受けて、関東財務局長は7月13日、同社に対し、金融商品取引法51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
- ○ 業務改善命令
- ⑴ 今般の法令違反及び投資者保護上問題のある業務運営について、責任の所在を明確にするとともに、発生原因を究明し、改善対応策を策定実行すること。
- ⑵ 金融商品取引業者として必要な営業者の選定・管理に関する業務運営態勢等を再構築すること。
- ⑶ 本件行政処分の内容及び改善対応策について、全ての顧客を対象に、適切な説明を実施し、説明結果を報告すること。
- ⑷ 顧客からの問い合わせ等に対して、誠実かつ適切に対応するとともに、投資者間の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること。
- ⑸ 上記⑴から⑷までの対応について、平成30年8月13日までに、進捗状況及び対応結果について報告すること。
3 maneoマーケットのコメント
本件に関するmaneoマーケットのコメントは、下記のとおりである。
- ○ 証券取引等監視委員会による勧告についてのお知らせ(7月6日)
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本日、証券取引等監視委員会は、当社に対する検査の結果を踏まえ、当社に行政処分を行うよう、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して勧告いたしました。
今般の証券取引等監視委員会の勧告において指摘を受けた問題点は、グリーンインフラレンディング社を営業者とするファンドに関し、最終貸付先企業が、ファンドの取得勧誘の際の事業とは異なる事業等に一部資金を使用していたこと、これにより取得勧誘画面が事実と異なる表示となっていたこと、上記の点を検証する態勢を当社において構築できていなかったことです。
当社は、この度の勧告を厳粛に受け止め、業務運営態勢のより一層の強化に取り組み、再発防止に向けて全社をあげて取り組んで参ります。
グリーンインフラレンディング社を営業者とするファンドに関しましては、今後、全ての投資家の皆様の保護の観点から、グリーンインフラレンディング社及び最終貸付先企業に対する要請や指導を実施するとともに、対応策の実施についての助言などのサポートを提供するなど、当社として実施しうる手段の限りを尽して参ります。
投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。 - ○ 業務改善命令についてのお知らせ(7月13日)
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本年7月6日、証券取引等監視委員会から内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、当社に行政処分を行うよう勧告がなされておりましたが、本日、以下の業務改善命令を受けました。
当社では、この度の業務改善命令を厳粛に受け止め、責任の所在を明確にするとともに、ファンドに対するモニタリングの強化・実効性確保をはじめとする業務運営態勢のより一層の強化や抜本的な内部管理態勢の見直しなどを行い、再発防止に向けて全社をあげて取り組んで参ります。
投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。
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金融庁、maneoマーケット株式会社に対する行政処分について(7月13日)
https://www.fsa.go.jp/news/30/shouken/20180713.html -
○ maneoマーケット、業務改善命令についてのお知らせ(7月13日)
https://www.maneo.jp/apl/information/news?id=6908 -
証券取引等監視委員会、maneoマーケット株式会社に対する検査結果に基づく勧告について(7月6日)
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180706-1.htm -
○ maneoマーケット、証券取引等監視委員会による勧告についてのお知らせ(7月6日)
https://www.maneo.jp/apl/information/news?id=6843