◇SH2292◇経産省、中小規模の上場企業による開示・対話の促進で「関西分科会報告書」を公表(2019/01/23)

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経産省、中小規模の上場企業による開示・対話の促進で「関西分科会報告書」を公表

――統合報告・ESG対話フォーラムの分科会、投資家ら「まずは対話を」の呼びかけ――

 

 経済産業省は1月10日、ダイドーグループホールディングスなど関西本社企業8社で開示・対話に携わる実務者により構成される分科会として「統合報告・ESG対話フォーラム」に設置された「関西分科会」による検討結果を報告書として取りまとめ、公表した。

 経産省ではコーポレートガバナンス・資本市場改革の取組みの一環として平成29年5月、いわゆる価値協創ガイダンス(「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス―ESG・非財務情報と無形資産投資―」)を策定し、開示・対話の取組みに関して企業および投資家の検討・紹介の場となる統合報告・ESG対話フォーラムを同年12月に立ち上げた。フォーラムは30年5月、議論の結果を整理するとともに具体的な今後の取組課題「4つのアクション」を掲げる「報告資料」を取りまとめていたところである。

 関西分科会は「4つのアクション」に示されたうちの1つ「中小型株における開示・対話のあり方の検討・情報発信」について検討するために設置。フォーラムでは「IR(インベスター・リレーションズ)に多くのリソースを割けない企業においても、情報開示や対話の質が上がることが重要」といった問題意識があり、フォーラムの分科会である「アクティブ・ファンドマネージャー分科会」においても「価値協創ガイダンスを用いた情報開示・対話について、中小規模の上場企業がこれに対応できるようにすることが重要」といった指摘がなされていた。

 関西分科会では「IR担当者が数名」とされる関西本社企業として、不二製油グループ本社、マンダム、シークス、PALTAC、NISSHA、SCREENホールディングス、小林製薬および幹事会社たるダイドーグループホールディングスの計8社が参加。ゲストに「価値協創ガイダンスを利用する企業の裾野の拡大を図り、持続的な企業価値向上に資する開示と対話の質の向上に貢献すべく」趣旨に賛同する投資家・アナリストら10名の自主的な協力が得られ、昨年4月から8月までの間に計4回の会合が開かれた。

 今般の関西分科会報告書における取りまとめによると、「リソースが潤沢でない企業の開示・対話のあり方」として推奨されるのは(1)まずは対話してみる、(2)シンプルな開示・次につながる対話を、(3)シンプルな開示における「強み」の見せ方、(4)相手を意識したメリハリのある開示を――の4点。

 たとえば(1)に係る企業側・投資家らにおける意見交換のやりとりをみると、中小規模の上場会社として「当社はまだ統合報告書も作成していないが、そういった段階でも、投資家の方と対話の機会を増やすためにはどうすればよいか?」といった企業側の声に対しては、投資家らから「ダイレクトにぶつけてもらえればいい。企業によってステージやリソースが違うことは理解している」「企業との対話で自分たちも発見があるので、歓迎する」「繁忙期でなければ時間をとることは可能なので、遠慮なく声を掛けてほしい」といった声が寄せられている。

 経産省による1月10日公表の資料には、こういった意見のやりとりの詳細が「関西分科会報告書別紙 ~ 意見交換まとめ」として含まれているほか、参加8社が価値協創ガイダンスを参照しながら自社の価値創造ストーリーについてプレゼンテーションを行った際のレジュメが「参加企業各社のプレゼンテーション資料」として明らかにされており、参考とされたい。

 

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