改正金商法施行令・開示府令などが公布・施行される
――株式報酬の開示規制見直しなどに対応、改正案にみられなかった調整が複数――
金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(令和元年政令第34号)、企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(令和元年内閣府令第13号)が6月21日に公布された。一連の改正として、企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)、開示用電子情報処理組織による手続の特例等に関する留意事項について(電子開示手続等ガイドライン)の改正も同日、公表されている。
改正により(ア)株式報酬に係る開示規制の見直し、(イ)会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会による報告書「会計監査に関する情報提供の充実について―通常とは異なる監査意見等に係る対応を中心として―」を踏まえた見直し、(ウ)電子開示手続等を行う場合の電子証明書の使用に関する留意事項の見直しを図るもので、金融庁では改正案を4月19日〜5月20日までの間、意見募集に付していた(主な改正の趣旨・概要について、SH2521 金融庁、金商法施行令・開示府令・開示ガイドライン等の改正で意見募集 (2019/05/09)既報)。
本稿冒頭の改正政令は上記(ア)の見直しに対応して(1)金融商品取引法施行令を改正するもの。改正府令では(2)企業内容等の開示に関する内閣府令(開示府令)について(ア)および(イ)の見直しに対応した。(ア)および(イ)に伴って(3)企業内容等開示ガイドラインも改正されており、(ア)の見直しに関連する(1)・(2)の改正はいずれも原則として7月1日に施行され、改正後の(3)も7月1日付で適用されている。また(イ)に関連する(2)の改正については原則として6月21日に施行、同様に(3)が同日付で適用されたほか、(ウ)に関連する(4)電子開示手続等ガイドラインの改正も6月21日付で適用されている。
公布された改正後の(1)金融商品取引法施行令は、改正案として示されていたものと同一となった。(2)開示府令では、次のような調整点がみられる。①開示府令2条2項の改正案として示されていた改正が同条3項として、改正案2条3項として示されていた改正が同条2項として公布された。②改正案としては示されていなかった9条の7第2項1号ロ、同項2号ロ、17条の3第2項2号および18条の3第2項2号に形式的修正が追加された。③上記①の調整に伴って19条2項2号の2ロ(4)の改正は、改正案において「勧誘の相手方が提出会社に関係する会社として第二条第二項各号に規定する会社の取締役等である場合には、当該会社と提出会社との間の関係」とされていたところ、「勧誘の相手方が提出会社に関係する会社として第二条第三項各号に規定する会社の取締役等である場合には、当該会社と提出会社との間の関係」と公布された。
また、(3)企業内容等開示ガイドラインがいずれも改正案どおりに改正されたのに対し、(4)電子開示手続等ガイドラインの改正では、改正案に示されていたように3−2が削除されたほか、2−1(電子開示システム届出書の提出方法)において、郵送のための封筒に関してその大きさを指定する改正が新たに加わっている。
なお、(2)開示府令を改正した改正府令により(5)財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(平成30年内閣府令第29号)、(6)財務諸表等の監査証明に関する内閣府令及び企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(平成30年内閣府令第54号)、(7)企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(平成31年内閣府令第3号)についても改正が図られ、(5)〜(7)の各改正府令の附則における元号関連の記載に形式的調整がなされた。