経産省、コード決済における不正利用に関する
責任分担・補償等についての規定事例集を公表
――キャッシュレス推進協議会において取りまとめる――
経済産業省は8月30日、コード決済における不正利用に関する責任分担・補償等についての規定事例集を公表した。
昨今のコード決済サービスにおける不正利用事案の発生を受け、コード決済事業者による安全かつ安心な決済サービスの提供の重要性が改めて認識されており、消費者にとって「安全」な決済サービスの提供のために、経産省では、決済事業者等に対し、不断のセキュリティレベル向上に努めるよう複数回にわたり要請するとともに、複数システムを連携させた決済サービスにおける不正利用対策に関する検討会を「キャッシュレス推進協議会」において立ち上げているところである。一方、消費者にとって「安心」な決済サービスであるためには、予見可能性の観点からも、不正利用が発生した場合に利用者にどのような責任・補償等があるかを、あらかじめ明確にしておく必要があるとされている。
このため、コード決済事業者が規定を作成する際の参考とし、また、すでに規定を策定しているコード決済事業者においても自社の規定を確認する契機とするため、今般、同協議会において「コード決済における不正利用に関する責任分担・補償等についての規定事例集(利用者向け利用規約)」を作成・公表したものである。
本事例集は、「コード決済事業者各社が、利用規約等において、不正利用に関してどのような補償や責任分担等についての規定を設けているかを調査し、それを類型ごとに記載した」ものである(なお、本事例集に記載している規定の例は、その趣旨等を踏まえて同協議会において修正・編集等を行ったものであるとされている)。
本事例集の「留意事項」によると、不正利用には、①不正利用された本人がアカウントの作成をした後に、当該アカウントが乗っ取り等により本人以外に利用され、当該アカウント内に本人によってチャージされていた金銭的価値や登録されていたクレジットカード等で決済されてしまう場合と、②不正利用された本人はアカウントの作成を行っていないにもかかわらず、第三者により不正にアカウント(不正利用された本人名義とは限らない)が作成され、当該アカウントにおいて本人のクレジットカードや銀行口座等が登録され、それらを用いて決済されてしまう場合の両方がある。本事例集では、②の場合には、不正利用された本人に対しては利用規約等を適用することができないことも念頭に置いて、自社の対応を一般に発信していくことが大切であるとしている。
本事例集は、下記のような構成で、事例を紹介するものとなっている。
「コード決済における不正利用に関する責任分担・補償等についての規定事例集(利用者向け利用規約)」の構成
1.1 補償等に関する規定の重要性
1.2 本事例集の対象
1.3 留意事項
⑴ 2種類の不正利用の存在
⑵ 金融機関・他の決済関連事業者等との調整
⑶ 関連法令との関係
1.4 用語について
2 本人が利用者登録した場合における不正利用時の責任分担等に関する規定
2.1 総論
2.2 コード決済事業者は責任を負わないとする事例
2.3 コード決済事業者が条件付で責任を負う事例
⑴ コード決済事業者に故意重過失があることをコード決済事業者の責任負担の要件とする事例
⑵ 利用者が一定の行為を行うことをコード決済事業者の責任負担の要件とする事例
2.4 決済取消権限のみを定める事例
3 本人が利用者登録していない場合における不正利用時の責任分担等に関する規定
4.1 総論
4.2 賠償額の上限に関する事例
4.3 損害の種類による制限に関する事例
5.1 補償制度の概要
5.2 補償制度に関する事例
5.3 補償制度に関する留意事項
⑴ 一定の行為の要求
⑵ 補償期間の限定
⑶ 補償金額の限定
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経産省、コード決済における不正利用に関する責任分担・補償等についての規定の事例集を公表しました(8月30日)
https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190830011/20190830011.html -
一般社団法人キャッシュレス推進協議会、「コード決済における不正利用に関する責任分担・補償等についての規定事例集」を策定しました(8月30日)
https://www.paymentsjapan.or.jp/news/20190830-user-compensation/ -
○コード決済における不正利用に関する責任分担・補償等についての規定事例集(利用者向け利用規約)
https://www.paymentsjapan.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/08/Casebook_User_Compensation_Terms.pdf