◇SH2868◇証券取引等監視委、平成30事務年度の開示検査事例集を公表 ――課徴金納付命令勧告は10事例と高水準に (2019/11/05)

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証券取引等監視委、平成30事務年度の開示検査事例集を公表

――課徴金納付命令勧告は10事例と高水準に――

 

 証券取引等監視委員会は10月23日、平成30事務年度(平成30年7月~令和元年6月)に行った開示検査の実績を織り込んだ「開示検査事例集」を公表した。

 今般取りまとめられた事例集によると、同事務年度に監視委が行った開示検査は38件(平成29事務年度の事例集による前年実績は30件。括弧内の数値について以下同様)で検査終了が22件(13件)、うち(ⅰ)開示書類の重要な事項に関して虚偽記載等が認められた10件(3件)については課徴金納付命令の勧告を行い、(ⅱ)重要な虚偽記載等が認められず、課徴金納付命令勧告を行わなかったものの、開示書類の記載内容の訂正が必要と認められた3件(2件)については開示書類の提出者に対して訂正報告書等の自発的な提出を促した。なお、今般の事例集から「監視委コラム」欄を増設し、「最近の検査事例を通じてクローズアップされた不正会計の実態、業界の特殊性、監査上の問題等について解説」することとした。

 伴って、「最新の検査事例」を紹介する第3章は、様々な課徴金納付命令勧告事例を10事例(3事例)、その他の事例として内部統制の不備、売上の前倒し計上等、特定関与行為についてそれぞれ1事例(売上の過大計上、再発防止策の実施についてそれぞれ1事例、内部統制の不備について2事例)を取り上げ、計13事例(計7事例)を収載するものとなっている。

 課徴金納付命令勧告の事例をみると、10事例のうち9事例で「売上の過大計上」が認められ、うち3事例で「上場会社が、その実態を適切に確認・検証を行わないまま、実在しない架空取引の商流に参加し、当該架空取引による売上を計上するといった不適正な会計処理を行うことによって、連結財務諸表等に重要な虚偽記載を行ってい」たとされるほか、10事例中2事例は「上場会社の海外連結子会社において不適正な会計処理が行われた」ものという。

 巻末の参考資料によると、課徴金納付命令勧告は平成26年度(当年4月〜翌年3月。以下同様)からの5か年度において30年度がもっとも多くなっており、「(表3)違反行為者(発行者である会社)の市場別分類 」をみると、本則市場である東証市場第一部上場会社が計5、東証市場第二部上場会社が計3、新興市場(東証ジャスダック)の上場会社が計2という内訳が把握できる。「売上の過大計上」とともに近時の会計不正の特徴を表しているものと捉えられる。

 事例集において「最新の検査事例」として掲げられる13事例については、「事案のポイント」とし、原則として「特色」「概要」「原因・背景」の3項目を簡潔に示す体裁となっており、適宜参考とされたい。

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