◇SH2941◇フマキラー、連結子会社の不正支払いで社内調査結果と対応方針を発表――元取締役1名による5期・33百万円の不正、再発防止策は社内調査チームの提言を踏まえ (2019/12/19)

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フマキラー、連結子会社の不正支払いで社内調査結果と対応方針を発表

――元取締役1名による5期・33百万円の不正、再発防止策は社内調査チームの提言を踏まえ――

 

 フマキラー(本社・東京都千代田区、東証第二部上場)は12月9日、11月8日付で公表した連結子会社における「不適切な疑いのある支払い」について社内調査チームから調査報告書を受領したとし、当該調査の結果と同社としての対応方針を発表した。

 同社では11月8日、同社の連結子会社でありシロアリ施工事業を主力とするフマキラー・トータルシステム(本社・東京都千代田区、非上場。以下「FTS社」という)において2011年4月〜2015年10月の間、特定のシロアリ施工業者に対し、当該業者が発行すべき「施工完了報告書」を受領していないにもかかわらず現時点で少なくとも約3,300万円の支払いがあったことが判明したと公表。監査役・内部監査部門を中心に全容解明と原因の究明、同種事案の有無について調査を継続しており、FTS社以外の連結子会社に関しても同種事案の有無について調査を行うとした。

 2020年3月期第2四半期報告書の法定の提出期限である11月14日には、12月13日までの期限延長について説明するなかで(ア)本件「支出に関与したFTS社の取締役は長年にわたり広範な業務を掌握しており、不適切な処理を容易に行い得る立場にあったことから、判明している事実以外に問題となるような取引や会計処理がないかを確認するには相応の調査が必要と考えられ」ること、また(イ)FTS社が「特定子会社に該当し売上高、損益ともに当社の連結財務諸表に対して相応の規模を占めることから、全容の解明がなされない状況においては財務諸表の訂正が必要となるような重要な虚偽表示の可能性があるため、判明している事実以外に問題となるような取引や会計処理がないか必要な調査を実施することを決定」したことを述べながら、(ウ)今後、監査役および内部監査部門ならびに財務に精通した社内メンバー(編注・同社として以上を「調査チーム」と定義)を中心に調査を行い、(エ)この調査チームにより「決算確定に必要な影響額を見積もるべき対象範囲の調査」「原因分析」「再発防止策の検討・提言」が行われる旨を表明していた。

 今般の発表では「社内調査チーム」名により同社取締役会に宛てて報告された「調査報告書(要約)」を併せて公表しており、これによると、調査チームのメンバーは①常勤監査役、②取締役管理本部長、③内部監査部門2名、④経理部門1名の計5名。10月29日〜11月27日の間、調査対象期間を各種帳票類が保管されている2012年3月期〜2019年3月期とし、FTS社内に存在する証憑・資料の検証、関係者から提供された証憑・資料の検証、関係者の聞き取り調査により実施した。調査の端緒は、2020年3月期第2四半期決算作業の過程で該当期間においてFTS社の一部取引先の売掛金に違算を見出したことという。

 調査結果によれば、FTS社の元取締役Aが2011年4月〜2015年10月、B社と共謀のうえ、実際に施工が完了したことを証明する施工完了報告書が存在しないにもかかわらず、または不正に発行された同報告書に基づいて、B社に対し約3,300万円の支払いを行ったことを確認した。FTS社内にA以外の関与はなく、また、同種の不正行為はFTS社においてもFTS社以外の連結子会社においても発見されなかった。2020年3月期第2四半期決算への影響は「ないと思われる」としている。

 原因分析として「売上と仕入を統合したITシステムがなく、また証憑を確認するプロセスがないためAが独断で指示ができる状況であった」ことを指摘。再発防止策としては(1)業務手順・承認権限を再構築する対応として、売上と仕入に関する業務手順を見直して第三者が証憑を確認するプロセスを構築するとともに売掛金管理および買掛金管理のシステムの再構築を行う(合わせて申請者・承認者・システム入力者を明確に区別する)こと、 (2)内部監査計画を見直して再構築された業務手順・承認権限の履行状況を内部監査により検証すること、(3)コンプライアンス啓発活動とともに内部通報制度の活用を周知徹底することの3点を提言した。

 同社では「提言を踏まえ、再発防止に真摯に取り組むとともに、コンプライアンス意識の徹底と内部統制のさらなる強化に取り組んでまいります」とコメントしている。

 

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