経産省、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改訂
――平成30年の不正競争防止法および著作権法の改正を踏まえて――
経済産業省は12月19日、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改訂した。
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」は、電子商取引や情報財取引等に関する法的問題点について、「民法をはじめ、関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにすることにより、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資すること」を目的として、平成14年3月に策定されたものである(策定時の名称は「電子商取引等に関する準則」)。経産省が現行法の解釈について一つの考え方を提示することにより、電子商取引や情報財取引等をめぐる法解釈の指針として機能することを期待しているものである。
平成14年3月の策定以降、電子商取引や情報財取引等の実務、関連する技術の動向、国内外のルール整備の状況等に応じて改訂を行ってきた(平成30年の改訂については後掲の別稿参照)。今般、平成30年の不正競争防止法の改正および著作権法の改正に対応して、産業構造審議会商務流通情報分科会情報経済小委員会IT利活用ビジネスに関するルール整備ワーキンググループにおいて得られた検討結果を踏まえて改訂を行った。
今般の改訂の概要は、以下のとおりである。
なお経産省では、現在、4月1日に施行予定の民法(債権関係)改正を踏まえた改訂作業を行っており、今後、同改正法施行後に新たな改訂版を公表することを予定している。
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の改訂の概要
- Ⅱ-7 ID・パスワード等のインターネット上での提供
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【不競法】「技術的制限手段」の効果を妨げる行為に対する規律の強化に伴い、内容修正。
【著作権法】著作物等の利用を管理する効果的な技術的手段に関する制度整備(アクセスコントロールの回避等に関する措置)に伴い、内容修正。
- Ⅱ-9-1 インターネット上の著作物の利用
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【著作権法】デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備に伴い、脚注の内容修正。
- Ⅱ-9-4 eラーニングにおける他人の著作物の利用
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【著作権法】教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備を踏まえ、内容修正。
- Ⅲ-8 ユーザーの知的財産権譲受人への対抗
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【著作権法】デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備に伴い、内容修正。
- Ⅲ-10 使用機能、使用期間等が制限されたソフトウェア(体験版ソフトウェア、期間制限ソフトウェア等)の制限の解除方法を提供した場合の責任
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【不競法】「技術的制限手段」の効果を妨げる行為に対する規律の強化に伴い、内容修正。また、脚注8の引用裁判例を、不競法改正の説明において援用されている裁判例に変更。
- Ⅲ-11 データ集合の利用行為に関する法的取扱い
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【不競法】「限定提供データ」の不正取得・使用等に対する民事措置の創設に伴い、内容修正。営業秘密に関する記述の見直し等も併せて実施。
【著作権法】デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備に伴い、内容修正。
【その他】全体構成を変更。
- Ⅱ-3 P2Pファイル共有ソフトウェアの共有
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【著作権法】平成26年改正(出版権の整備)を受けた内容修正。
- Ⅱ-9-3 著作物の写り込み
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【著作権法】平成24年改正(付随対象著作物の利用)に関する記述につき、時間の経過に伴い、表現見直し。
- その他(略)
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経産省、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改訂しました(12月19日)
https://www.meti.go.jp/press/2019/12/20191219003/20191219003.html -
○「電子商取引及び情報財取引に関する準則」(本文)
https://www.meti.go.jp/press/2019/12/20191219003/20191219003-2.pdf -
○「電子商取引及び情報財取引に関する準則」について
https://www.meti.go.jp/press/2019/12/20191219003/20191219003-1.pdf -
参考
SH2020 経産省、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改訂 工藤良平(2018/08/08)
https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=6856894