◇SH0287◇消費者契約法専門調査会のポイント(第8回) 児島幸良/須藤克己(2015/04/15)

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消費者契約法専門調査会のポイント(第8回)

弁護士 児島 幸良
弁護士 須藤 克己
 
 平成27年4月10日、内閣府消費者委員会において、第8回消費者契約法専門調査会が開催された。以下、その概要を報告する。なお、本報告において、意見に亘る部分は、すべて報告者の私見である。
 

1. 配布資料

 以下の資料が配布された。
 資料1  第6回消費者契約法専門調査会で出された主な御意見の概要
 資料2  個別論点の検討(2)―不当勧誘に関する規律①―(消費者庁提出資料)
 資料3  山本健司委員提出資料
 参考資料1  参考事例(消費者庁提出資料)
 参考資料2 資料2の概要(消費者庁提出資料)
 参考資料3 フランスの「消費者」概念と「非事業者」概念(大澤彩委員提出資料)
 参考資料4 「消費者」概念と「団体」についての前回発言に関する参考資料と補足説明(丸山絵美子委員提出資料)

2. 議事内容

 消費者庁加納消費者制度課長から、資料2に基づいて、以下の論点ごとに説明がなされ、各論点についての審議が行われた。
  • 「勧誘」要件の在り方
  • 断定的判断の提供
  • 不利益事実の不告知
  • 重要事項

3. 審議

(1) 「勧誘」要件の在り方

  • 全体として乙案(「勧誘をするに際し」という文言に代えて、広告等による場合を含め、契約締結の意思形成への直接的な働きかけであることを要する趣旨から、「契約の締結に関して」又は「契約が行われる(締結される)までの間に」とする考え方)に賛成という意見が多く聞かれた。他方、丙案(「勧誘をするに際し」という文言を維持した上で、個々の事案における解釈に委ねるとする考え方)についても、現行の解釈を変更する等の条件を付して賛成するとの意見があった。
  • 複数の委員から、事業者が広告等の記載や説明に関与している場合に不当勧誘行為規定の適用を限定し、これを明記する考え方(資料2・7頁)に対し、反対の意見が述べられた。
  • 沖野委員から「勧誘をするに際し」という文言を維持しつつ、「不特定多数を含む」等の文言を付するなどして広告等による勧誘が消費者契約法の不当条項規制に含まれることを示す私案が示された。
  • 乙案について、「関して」とすると捕捉する範囲が広くならないか、「際し」と「関して」は意味が大きく異なるのではないかとの質問があった。この点について、事務局より、「関して」とすると範囲が広くなるとの回答があり、また、あえて言えば金商法の規律が最も参考になると考えているとの発言もあった。

(2) 断定的判断の提供

  • 甲案(「将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額」という例示を削除し、「将来における変動が不確実な事項」又は「不確実な事項」とする考え方)、乙案((財産上の利得に影響しない事項も断定的判断の提供の対象となり得るという考え方を前提として、)現行法の文言を維持した上で、個々の事案における解釈に委ねるという考え方)、それぞれに複数の支持があった。
  • 客観的でない効果・効能が問題となる例について、断定的判断の提供の問題なのかという疑問が複数の委員から聞かれた。
  • 不実告知と断定的判断の提供の関係を意識した意見が多く聞かれた。

(3) 不利益事実の不告知

  • 情報提供義務と不利益事実の不告知の適用範囲について整理が必要との意見があった。
  • 次回以降、不実告知型については要件の整理を行い、不告知型については“故意”の意味内容を詰めたうえで対象の拡張(過失があった場合等も含めるのか等)について検討する方針が示された。

(4) 重要事項

  • 甲案(法4条4項各号が例示であることを明示し、又は、同項各号を削除して、「消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの」とする考え方)と乙案(法4条4項各号の事項に加え、「消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項」を「重要事項」に含める考え方)が示された。
  • 特商法の規定を参考にしつつ、案を再検討することとなった。

4. その他

 次回開催予定:平成27年4月24日(金)16時~
 
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