SH0793 出光興産、大株主である公益財団法人出光美術館・出光文化福祉財団に対する申入れ 粉川知也(2016/09/12)

組織法務経営・コーポレートガバナンス

出光興産、大株主である
公益財団法人出光美術館・出光文化福祉財団に対する申入れ

岩田合同法律事務所

弁護士 粉 川 知 也

 

 平成28年9月5日、出光興産株式会社(以下「出光」という。)は、同社の大株主である公益財団法人出光美術館及び同出光文化福祉財団の両財団(以下「両財団」という。)の評議員、理事に対し、同社及び昭和シェル石油株式会社(以下「昭和シェル」という。)の経営統合に関する説明の申入れを書簡にて行ったことを公表した。

 この問題は、出光が目指す昭和シェルとの経営統合について、出光の大株主である同社の創業家の反対を受けたことによって生じたものであるが、現在進行している石油元売り業界の再編に影響をもたらす可能性があり、紹介する。

 石油元売り業界においては、内需の減少等を受けて業界再編が模索されており、業界2位の出光は、業界5位の昭和シェルとの統合を進める方針を定め、平成27年7月には、オランダのロイヤル・ダッチ・シェル ピーエルシー(以下「ロイヤル・ダッチ・シェル」という。)の子会社から昭和シェルの株式33.3%を取得する株式譲渡契約を締結し[1]、経営統合協議を本格化させたほか、同年11月には、昭和シェルとの間で合併を経営統合の基本方針とする基本合意に至った[2]

 この出光経営陣の方針に対し、同社株式の約33.92%(両財団の株式を含む)を有する大株主である創業家が合併を前提とする経営統合に反対したのが問題の発端であるが、その後の動きの中で出光経営陣は2つの問題に直面した。

この記事はプレミアム向け有料記事です
ログインしてご覧ください


タイトルとURLをコピーしました