厚労省、雇用保険制度の見直しについて
労働政策審議会職業安定分科会における審議を開始
岩田合同法律事務所
弁護士 豊 岡 啓 人
1 雇用保険制度の概要と見直しの経緯
出典:厚生労働省 第201回労働政策審議会職業安定分科会 参考資料より引用
雇用保険制度は上図のとおり、主に①失業等給付、②育児休業給付、③雇用保険二事業から成る制度である。具体的には、労働者が失業した場合、雇用の継続が困難となる事由が生じた場合、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付として①失業等給付が支給され(雇用保険法1条、同法10条1項)、労働者が子を養育するための休業をした場合に必要な給付として②育児休業給付が支給される(同法1条、61条の6第1項)。また、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図るため、③雇用安定事業と能力開発事業の二事業も行われる(同法3条、62条、63条)。なお、雇用保険制度は、農林水産業の個人事業で常時5人以上を雇用する事業を除き、労働者を雇用する事業のすべてに適用される(同法5条1項、附則2条1項、同法施行令附則2条)。
この雇用保険制度について、近時の働き方の多様化への対応、労働者の主体的なキャリア形成支援、急速な少子化への対策等といった必要から、「経済財政運営と改革の基本方針」(令和5年6月16日閣議決定)や「こども未来戦略方針」(令和5年6月13日閣議決定)は、雇用保険の適用拡大や教育訓練給付の拡充、育児休業給付の給付率の引き上げ等の検討を課題として挙げていた。このため、労働政策審議会職業安定分科会で、2024年1月10日に、前記①②について見直しを行う審議が開始された。
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(とよおか・ひろと)
岩田合同法律事務所弁護士。2014年東京大学法学部卒業、2016年同大学法科大学院修了。2017年弁護士登録、2018年から2022年まで石嵜・山中総合法律事務所勤務。人事労務分野を中心に企業法務全般を取り扱う。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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厚労省、労働政策審議会職業安定分科会(第201回)資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_030127159_001_00063.html