SH4792 経産省、総務省、「AI事業者ガイドライン案」取りまとめ 藤原未彩(2024/01/31)

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経産省、総務省、「AI事業者ガイドライン案」取りまとめ

岩田合同法律事務所

弁護士 藤 原 未 彩

 

1 はじめに

 生成AIや対話型AIなどAI関連技術の急速な発展・普及に伴い、その活用促進に向けた議論が国内外で活発に行われている。

 国内的な動きとして、内閣府は、生成AIなどの業務利用に向けた検討を行うために、関係省庁の実務者級で構成される「AI戦略チーム(関係各省連携)」を編成し[1]、2023年4月24日に初回会合を行った。また、内閣府は、同年5月には、専門家や政府関係者らで構成された「AI戦略会議」を設置し、「AI戦略チーム(関係各省連携)」の上位組織として位置づけ、AI全般の開発や活用を促す方策の検討を行ってきた[2]。同月26日に開催された第2回「AI戦略会議」においては、生成AIの普及を始めとする最近の技術の急激な変化等に対応すべくとりまとめられた「AIに関する暫定的な論点整理」[3]が公表されている。さらに同年6月26日に開催された第3回「AI戦略会議」においては、当時の科学技術政策担当大臣より、各省庁がそれぞれの所掌事務に関連して制定しているAIガイドラインを統合する必要性が示唆され[4]、同年9月8日に開催された第5回「AI戦略会議」においては、新たなガイドラインのスケルトン案として「新AI事業者ガイドライン スケルトン(案)」[5]が公表された。同年10月31日には、上記ガイドラインの策定に向けた第1回「AI事業者ガイドライン検討会(旧AI原則の実践の在り方に関する検討会)」[6]が開催され、各種ガイドラインの統合作業が進められてきた。

 このような経緯を経て、本年1月29日に「AI事業者ガイドライン案」(以下「本ガイドライン案」という。)が公表され[7][8]意見募集が開始されている[9]。本稿では、本ガイドライン案の概要を紹介したい。

 

2 本ガイドライン案の策定方針

 本ガイドライン案は、2019年に統合イノベーション戦略推進会議において決定された「人間中心のAI社会原則」[10]を土台に、総務省主導で策定された「国際的な議論のためのAI開発ガイドライン案」[11]、「AI利活用ガイドライン~AI利活用のためのプラクティカルリファレンス~」[12]、経済産業省主導で策定された「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドラインVer.1.1」[13]を統合した上で、国内外における議論を反映し、事業者がAIの社会実装及びガバナンスを共に実践するためのガイドライン(非拘束的なソフトロー)として新たに策定されたものである。

 本ガイドライン案を参照することで、AIを活用する事業者が安全安心なAI活用のための望ましい行動につながる指針を確認できるものとなっている。

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(ふじはら・みさ)

岩田合同法律事務所所属。2015年九州大学法学部退学。2017年九州大学法科大学院終了。2019年1月判事補任官。東京地方裁判所勤務を経て、2022年4月「判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律」に基づき弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

<連絡先>
〒100-6315 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング15階 電話 03-3214-6205(代表)


総務省、経産省、「AI事業者ガイドライン案」の意見募集開始
https://www.meti.go.jp/press/2023/01/20240119002/20240119002.html

AI事業者ガイドライン案https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20240119_report.html

概要
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/pdf/20240119_3.pdf

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