◇SH0167◇国税庁、「法定調書提出義務者・源泉徴収義務者となる事業者のための番号制度の概要」 佐藤修二(2014/12/15)

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国税庁、「法定調書提出義務者・源泉徴収義務者となる事業者のための番号制度の概要」

岩田合同法律事務所

弁護士 佐 藤 修 二

(1) はじめに

 平成25年、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「番号法」という。)が成立し、社会保障・税番号制度(以下「番号制度」という。)が導入されることとなった。スケジュール的には、2015年秋に付番完了、2016年1月からの利用開始が想定されている。政府は、イメージキャラクター「マイナちゃん」を前面に出した広報活動も行っているが、後述のように民間事業者にも影響のある新制度導入である割には、法務関係者の関心は徐々に高まってきているものの、世間的な関心はそれほどでもないように感じられる。国税庁が番号制度に関するHPを開設して周知に努めているのも、認知度の低さが一つの背景であろう。

 そこで本稿では、番号制度の概要及び民間事業者への影響について述べることとしたい。

(2) 番号制度の概要

 番号制度は、概要、国民1人1人に対して、 ①悉皆(しっかい)性(住民票を有する全員に付番) ②唯一無二性(1人1番号で重複の無いように付番) ③番号制度は、後記(3)のとおり、民間において個人と事業者間で、あるいは民間と行政との間で流通することが予定されているところ、そのような「民・民・官」の関係で流通させて利用可能な視認性(見える番号) ④最新の基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)との関連付け、という特色を有する、新たな「個人番号」を付番するものである。

 番号制度導入の意義として、次表のような点が挙げられている。

行政の効率化

国民の利便性の向上

公平・公正な社会の実現

行政機関や地方公共団体などで様々な情報の照合や入力などに要している時間や

労力が大幅に削減されるとともに、より正確に行えるようになります。

添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、負担が軽減されます。情報提供等記録開示システムによる情報の確認や提供などのサービスを利用できます。

所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなり、脱税や不正受給などを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行えます。

(内閣官房資料《http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/kouhou_sumally.pdf》 による)

 

(3) 民間事業者への影響

 番号制度は、民間事業者に対しても少なからず影響を及ぼす。

 まず、民間事業者は、従業員やその扶養家族の個人番号を取得し、給与所得の源泉徴収票や年金・保険関係の書類に記載して行政機関に提出する必要があり、また、金融機関や出版社などの源泉徴収義務者は、税務署に提出する支払調書に個人番号を記載する必要がある。そして、民間事業者は、これらの目的等のために個人番号を取得する際は、所定の本人確認手続をとる必要がある。

 取得した番号は、原則として上記のような利用範囲を超えて利用することはできないし(番号法9条3項)、個人番号をその内容に含む個人情報をむやみに提供することもできない(番号法19条)。また、番号を取り扱う際は、その漏えい、滅失、毀損を防止するなど、番号の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない(番号法12条)。

(4) おわりに

 以上のように、番号制度は民間事業者にも少なからぬ負担を生じさせるものであるが、いずれにせよ対応が必要となるものであるから、民間事業者としては、受け身の対応に止まらず、番号制度の事業への積極的な活用も考えたいところであろう。筆者も末席を汚す金融税制・番号制度研究会では、番号制度の民間利用に向け、例えば犯罪収益移転防止法上の不公正取引防止のための口座管理に活用すること等、法令上金融機関等の民間事業者に義務付けられる事務における利用については、一つ一つ議論しつつ法令によりその利用を認めていく「ホワイトリスト・アプローチ」の方向性を報告書において提言しており、併せて参看頂ければ幸いである(http://www.japantax.jp/teigen/file/20141127.pdf)。

(さとう・しゅうじ)

岩田合同法律事務所弁護士。2000年弁護士登録。1997年東京大学法学部、2005年ハーバード・ロースクール(LL.M., Tax Concentration)各卒業。2005年Davis Polk & Wardwell LLP (NY)勤務。2011年~2014年東京国税不服審判所国税審判官。中里実他編著『国際租税訴訟の最前線』(共著、有斐閣、2010)等税務に関する著作多数。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>

1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

<連絡先>

〒100-6310 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング10階 電話 03-3214-6205(代表) 

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