◇SH3126◇積水ハウス、会場・時刻変更の定時株主総会開催禁止等の仮処分申立てが却下されたと発表――大阪地裁による却下決定、変更後の総会を翌日予定どおり開催 (2020/04/30)

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積水ハウス、会場・時刻変更の定時株主総会開催禁止等の
仮処分申立てが却下されたと発表

――大阪地裁による却下決定、変更後の総会を翌日予定どおり開催――

 

 積水ハウス(本社:大阪市北区・梅田スカイビルタワーイースト、東証・名証市場第一部上場)は4月17日に発表した株主による定時株主総会開催禁止等の仮処分申立てを巡り、同月22日、21日に申立人から一部取下げがあったこととともに22日に大阪地方裁判所が却下決定を下したと発表した。

 同社の4月17日付発表によると、本件仮処分は同社取締役である株主1名が16日、大阪地裁に申し立てたもので、当該株主は定時総会に上程される株主提案・第8号議案「取締役11名選任の件」の提案株主の1人でもある。株主提案は仮処分申立ての同社取締役および同社元取締役相談役(前会長)の株主2名が自身らを含む候補者11名を一括して選任することを求めるもので(同社2月17日付発表)、取締役会としては3月5日、本提案への反対を決議したと発表。反対理由を述べるなかで同社は、いわゆる地面師事件に触れながら「本株主提案の提案理由には、多数の事実誤認や事実と異なる内容が含まれること」「本株主提案は提案株主の正当な理由によるものではないと推察されること」を指摘した。なお、同社4月11日付発表によれば、議決権行使助言会社ISSは会社提案の取締役選任議案につき代表取締役会長・代表取締役副会長の2名に関して反対推奨、本株主提案のうち社外取締役候補中の2名に関して賛成推奨していた。

 積水ハウスは4月15日、4月23日に開催予定の同社定時総会の開催場所である「ウェスティンホテル大阪 ローズルーム」について、ホテル側から会場としての提供が困難であると通知があったとし、ホテルと同じ新梅田シティ敷地内にある大阪市北区「梅田スカイビルタワーウエスト35階」へと開催場所を変更するとともに、開始時刻を30分繰り下げ、午前10時30分とすることを発表した(同様の例として、SH3115 4月総会に複数の会場変更事案、緊急事態宣言等を受けて当初予定会場が使用不能に――代替会場に本社会議室、開催日は変えずに時刻繰下げの例など (2020/04/23)参照)。

 定時総会の開催禁止等を求める今般の仮処分申立ては、同社の招集手続につき「開催時刻及び場所を変更したこと等に法令の違反があるとともに、その他の点について著しく不当なものであり、当社が回復することができない損害を被るおそれがあるため、本申立てを行った」ものとされている(同社4月17日付発表)。

 これに対して同社は、(ア)開催場所等の変更が、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、特別措置法に基づく大阪府の使用制限等の要請が行われた施設として当初会場等の営業が休止されることに伴って決定されたもので、変更等は適法かつ適正に行われていること、(イ)変更等後の会場は当初会場より用意できる席数が限られるなどの制約はあるが、新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるためにやむを得ないものであること、(ウ)経済産業省および法務省から示された「株主総会運営に係るQ&A」の考え方に則って適法かつ適正に変更等を実施していること、(エ)万一株主が求めるように本定時総会を予定どおり開催しないこととした場合には基準日が変更となり、1月31日を基準日とした株主に対する期末配当金の支払いが不可能になるなど株主および同社の経営に重大な影響が生じるおそれがあること、(オ)本件仮処分の申立ては、同社が回避しようとしたこれらの株主および同社の重大な不利益を生じさせるものであり、同社および株主共同の利益に著しく反するものであること――を説明したうえで、「本申立てには全く理由がないと考えており、当社の見解について真摯に主張・立証し、本申立ての却下を求めて対応する方針です」とコメントしていた。

 同社4月22日発表によると、同社に対する申立てが申立人により21日に取り下げられ、22日には本定時総会の招集者である同社代表取締役会長に対する申立てについて大阪地裁が却下決定を行った。仔細は明らかになっていないが、同社では(1)「今般、本申立てのうち、当社代表取締役阿部俊則に対する申立てが却下されたのは、当社の主張の正当性が本申立てにおいて認められたことによるものと考えて」いると述べるほか、(2)「上記却下決定に先立ち、本申立ての審尋期日を経た結果、当社に対する申立ては、申立人の都合により取り下げられ」たとの説明を添えている。

 4月23日開催の定時総会では会社提案の第1号~第7号議案がいずれも原案どおり承認可決、株主提案の第8号議案は否決された。翌24日に提出された臨時報告書によれば、ISSが反対推奨した2取締役の選任に対する賛成比率はそれぞれ69.27%、72.87%にとどまる一方で、株主提案を巡って賛成推奨した社外取締役候補2名への賛成比率はそれぞれ30.49%、25.48%に上った。

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