金融庁、「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を
改正する内閣府令(案)」を公表
岩田合同法律事務所
弁護士 飯 田 浩 司
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金融庁は、令和2年1月10日、「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」を、そのHP上で公表した(以下「本公表」という。)。
金融商品取引業者等は、金融商品取引契約を締結しようとするときは、原則として、あらかじめ、顧客に対し、所定事項を記載した書面(契約締結前交付書面)を交付しなければならない(金商法第37条の3第1項)。
本公表によれば、本公表に係る金融商品取引業等に関する内閣府令(以下「業等府令」という。)の改正案は、
- ①「契約締結前交付書面を過去に交付したことがある顧客に対して、金融商品取引業者等がウェブを活用して契約締結前交付書面の情報を提供することを可能」とし、併せて、
- ②「契約締結前交付書面の記載事項の合理化を図る観点から、記載事項の一部について見直し」を行う、
ものとされる。
ここでは、同改正案のうち、より重要な上記①のポイント(以下「本改正案」という。)を概観する。
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⑴ 背景・趣旨
本改正案の「背景・趣旨」について、金融庁は、本公表において、「上場有価証券やプレーンな債券については、現在多くの金融商品取引業者等において契約締結前交付書面を冊子にまとめて、全顧客に年1回交付する実務運用が行われてい」るが、「このような運用は、顧客にとって必ずしも合理的な情報提供となっていないと考えられるところ、本件の改正では、契約締結前交付書面の趣旨を損なうことなく、その内容をより合理的で分かりやすく顧客に提供する観点」で、改正を行うものとしている。
(2) 本改正案に係る提供方法を利用できる有価証券の範囲
本改正案により、ウェブを活用した契約締結前交付書面の情報等の提供(以下「本提供」という。)ができる「有価証券の範囲」は、上述のように「上場有価証券やプレーンな債券」に限られる[1]。
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