東証、2020年3月期の定時株主総会の動向について公表
――全体的に日程を後倒しする傾向の他、「基準日変更を検討」が39社、「継続会開催を検討」が85社――
東京証券取引所は5月1日、2020年3月期の定時株主総会の動向について公表した。
東証では、3月期決算の上場会社を対象として毎年「定時株主総会調査」を行い、その動向を集計・公表するとともに、個別の開催予定日等の一覧をホームページにおいて提供しているところ、本年の調査では、新型コロナウイルス感染症の拡大による株主総会実務への影響を把握する観点から調査項目を一部追加し、また、上場会社各社の検討状況に配慮して調査期間を延長していたものである。本年の調査では、4月30日までに寄せられた1,823社(3月期決算の上場会社の77.9%)の回答内容に基づいて集計している(一部項目を除く)。
以下、その概要を紹介する。
1 開催動向
①開催日程は、6月26日(金)に集中することが見込まれ、集中割合は33.2%(前年より2.3ポイント増加)、最集中日の属する週の集中割合は82.4%(前年より12.4ポイント増加)となった。東証によると、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、決算作業及び監査手続き並びに招集手続きの事務日程をできる限り確保するため、全体的に日程を後倒しにする傾向がある」とみられる。
②基準日変更及び継続会開催の検討状況については、新型コロナウイルス感染症の影響の深刻化を踏まえ、4月22日から4月30日にかけて追加調査(回答社数:556社(3月期決算会社全体の23.8%))を実施した。その結果によると、定時株主総会の延期に伴う基準日の変更を「検討」している会社は39社(7.0%)であり、実際に変更を「決議」した会社は以下の9社であった(4月30日時点)。
《東芝、スカパーJSATホールディングス、ブロードメディア、ナンシン、サンデンホールディングス、サンリツ、JDI、日本板硝子、オリンパス》
基準日の変更を「検討」している会社のうち、併せて配当基準日の変更を検討している会社は26社(66.7%)で、実際に基準日の変更を「決議」した上記の9社のうち、同時に配当基準日を変更した会社は3社《ナンシン、サンリツ、オリンパス》で、変更していない6社は、定款により剰余金の配当の決議機関を取締役会と定めている会社、または今期は剰余金の配当を行わない予定としている会社であった。
継続会の開催を「検討」している会社は85社(15.3%)(基準日の変更と継続会の双方を検討している会社34社を含む)であり、実際に開催の方針を「決定」した会社はない(4月30日時点)(なお、その後、アネスト岩田(5月11日)等が継続会の開催方針を決議している)。
継続会の開催を検討している会社のうち65社(76.5%)は、株主総会を剰余金の配当の決議機関とし、かつ、今期に配当を予定している会社である。なお、継続会の開催予定時期については、現時点では「無回答」としている会社がもっとも多く、具体的な時期を回答した会社でも、当初の定時株主総会の開催時期の翌月の7月を想定している会社が多くなっている。
《継続会の開催予定時期(計85社)》
・6月 1.2%(1社)
・7月 21.2%(18社)
・8月 3.5%(3社)
・9月 2.4%(2社)
・無回答 71.8%(61社)
2 招集通知の早期発送及びウェブ開示
決算・監査作業等の遅延に伴い、招集通知の発送を総会の3週間(中15営業日)以上前に予定している会社の割合は、前年より3.8ポイント低下し、19.5%(347社)となった。また、自社ウェブサイト等における招集通知の公表を、総会の3週間(中15営業日)以上前に予定している会社の割合は、前年とほぼ同水準の68.3%(1,200社)となった(前年は69.1%)。
東証によると、「決算作業や監査手続きの遅延によって全体の日程がタイトとなり、招集通知の早期発送等が困難な場合においても、株主に対して、株主総会の議案に対する検討期間をできる限り提供するとともに、株主総会の会場における感染拡大を防止するため、書面等による議決権の事前行使を促す観点から、自社のウェブサイトにおける情報提供に積極的に取り組もうとする動き」がみられるとしている。
東証、2020年3月期の定時株主総会の動向について(5月1日)https://www.jpx.co.jp/news/1021/20200501-05.html
○(別紙)2020年3月期の定時株主総会の動向
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