◇SH3162◇信託協会、3月決算会社の定時株主総会対応で発行会社・機関投資家への要請を取りまとめ――経産省宛に周知を要望、大半が6月中に開催完了で関係者日程に逼迫感 (2020/05/26)

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信託協会、3月決算会社の定時株主総会対応で
発行会社・機関投資家への要請を取りまとめ

――経産省宛に周知を要望、大半が6月中に開催完了で関係者日程に逼迫感――

 

 

 信託協会は5月19日、経済産業省宛に、発行会社・機関投資家に対して経産省から周知してほしい内容を取りまとめて提出したとし、これを発表した。

 周知の具体的な要望内容は、信託協会において同日付で公開したニュースリリース「『新型コロナウイルス感染症の影響による株主総会対応』に係る要望を提出」に5月14日付「新型コロナウイルス感染症の影響による株主総会対応について」として添付しており、経産省に設置された「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」(座長:尾崎安央早稲田大学法学学術院教授)宛とした。同研究会は「株主総会当日の新たな電子的手段の活用の在り方及び近年の内外の制度整備や実務の積み重ねを踏まえたさらなる対話のための環境整備等について検討する」ために昨年設置されたもので、本年4月13日には第7回会合を開催するに至っている。同研究会において信託協会は、法務省民事局参事官室や金融庁企画市場局企業開示課などとともにオブザーバー参加しており、今般の要望は「3月決算会社の定時株主総会対応を踏まえ、あらためて貴省からご周知いただきたい内容をとりまとめましたので、ご検討賜りますよう、よろしくお願い申し上げます」と位置付けたものとなった。

 5月14日付「新型コロナウイルス感染症の影響による株主総会対応について」は、「1. 3月決算会社における定時株主総会に向けた対応(現状)」「2. 上記を踏まえた信託協会からの依頼」「3. 基準日変更または継続会開催にあたってのご参考」の3項目で構成。「1」の現状分析では、証券代行部門を擁する「みずほ信託銀行・三菱UFJ信託銀行・三井住友信託銀行調べ」として3月決算会社2,390社の対応を表形式で示しており、これによると、A)株主総会基準日の変更:75社(3.14%)、B)継続会開催:132社(5.52%)、C)6月中の株主総会開催:2,142社(89.62%)といった状況が明らかになった。C)の2,142社のうち503社(21.05%)については「スケジュールの後倒しあり」と見込まれており、「招集通知発送日の後倒しあり」は467社(19.54%)、「株主総会開催日の後倒しあり」は120社(5.02%)を数える。このような調査結果を踏まえ、信託協会では「大半の発行会社が6月中に株主総会を完了する意向がある」と総括するとともに、「株主における株主総会の議案検討を行うための議決権行使期間の短縮があることに加え、招集通知等の印刷、封入、発送や議決権行使集計の業務が短期間に集中することで、株主名簿管理人のみならず、印刷会社、封入・発送事業者、郵便局、議決権行使事務受任者等の業務遂行に大きな支障が生じる虞があ」るとし、関係者の日程が逼迫する可能性について具体的に表明した。

 上記「2」により発行会社が検討すべき事項として掲げたのは、次のとおり。(1)各社の決算・監査スケジュールを踏まえ、①監査スケジュールが後倒し、または監査の完了期日が未定となっている場合、議決権行使期間や十分な作業スケジュールを確保するために、基準日変更や継続会を開催すること、②株主総会日程を延期する場合、可能な限り早くその旨を情報開示すること、③例年どおりの日程で株主総会を開催する場合においても招集通知の発送前にWEB開示を実施すること。(2)会社法施行規則・会社計算規則の改正により、いわゆるWEB開示によるみなし提供制度の対象となる書類が拡充される予定であることを踏まえ(編注・改正省令の5月15日付公布および即日施行により、すでに措置済み)、同制度を活用しつつ招集通知の発送・開示時期を適切に決定すること。(3)経産省および法務省による「株主総会運営に係るQ&A」を踏まえ、 株主へPC・スマートフォン等によるインターネット経由の行使を推奨すること。

 一方の機関投資家に対しては、発行会社側の対応が流動的となって「招集通知の発送の遅れにより議決権行使期間が短期間に集中することが想定される」ことから、このような状況を把握したうえで、適正かつ早期の議決権行使指図を行うべきことを指摘している。

 発行会社に対しては、さらに上記「3」をもって(ア)基準日変更、(イ)継続会開催に係る要請を行った。これによると、(ア)に関しては、場合により株主総会の基準日と招集通知発送の間に一定期間を空ける必要があることから、スケジュールにつき必ず「招集通知の発送を委託している株主名簿管理人」等に対して事前に相談してほしいこと、(イ)に関しては、定時株主総会で決議できなかった決議事項の継続会への審議延期(議決権行使集計を延長すること)は実務上難しいおそれがあることから、必ず「議決権行使集計を委託している株主名簿管理人」等に対して事前に相談してほしいことを挙げている。

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