◇SH3245◇法務局における自筆証書遺言書保管制度、特設サイト拡充で7月10日施行――法務省、施行に合わせて予約・通知を含む12分野の制度・手続をガイダンス (2020/07/21)

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法務局における自筆証書遺言書保管制度、特設サイト拡充で7月10日施行

――法務省、施行に合わせて予約・通知を含む12分野の制度・手続をガイダンス――

 

 法務局における自筆証書遺言書保管制度が7月10日、施行された。2018年7月13日に公布された「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(平成30年法律第73号)に基づく新たな制度のもと、自筆証書遺言に係る遺言書について法務局(遺言書保管所)に保管するという選択肢が追加されたことになる。

 7月10日の施行に向け、法務省では特設サイトを用意したうえで、制度や手続に関する案内を継続してきたところであるが(SH3221「法務省、法務局における自筆証書遺言書保管制度について概要を公表 堀 譲(2020/07/02)参照)、6月24日には「予約について」と題するページを公開するとともに7月1日からの予約受付を正式発表。7月8日には続いて「通知について」を公開し、特設サイト上に次の12分野のガイダンスを取りそろえた。01:制度概要、02:(自筆証書遺言書保管制度の)関係法令、03:遺言者の手続、04:相続人等の手続、05:申請書等一覧、06:自筆証書遺言書の様式について、07:通知について、08:遺言書情報証明書・遺言書保管事実証明書について、09:手数料一覧・遺言書保管所一覧・遺言書保管所管轄一覧、10:予約について、11:(自筆証書遺言書保管制度についての)Q&A、12:関連資料・リンク集。左記・関連資料としては、まずカラフルな「パンフレット(自筆証書遺言書保管制度)」がPDFファイル形式で閲覧できるようになっており、上記11のページに掲載されているQ&Aも含ませるなど、制度や手続を大きく把握するのに好適な資料といえる。

 これらのうち、たとえば上記05の申請書等一覧のページでは、様々な手続において必要となる各書類の「様式」「記載例・注意事項」を取りまとめてダウンロードできるようにした(法務局の窓口でも入手可能である)。08のページでは新制度下において交付される「遺言書情報証明書」「遺言書保管事実証明書」の見本が確認できるようになっている。

 6月24日公開となった上記10では、この制度の利用に当たって「あらかじめ予約が必要」であることを強調している。本制度における遺言書の保管の申請は、遺言者が法務局に自ら出頭して行わなければならない。遺言者本人が「遺言者の住所地」「遺言者の本籍地」「遺言者が所有する不動産の所在地」のいずれかを管轄する法務局に直接出向くことになり、手続は即日処理されるものの「予約日の前々業務日の午前中まで」に予約したうえで法務局を訪れることになる点、注意が必要である。

 施行直前となる7月8日に公開された上記07は(1)関係遺言書保管通知、(2)死亡時の通知の2つの通知について丁寧に説明するものとなった。(1)は遺言者の死亡後、相続人や遺言書に記載される受遺者、遺言執行者など関係相続人等が、①その遺言書を閲覧したり、②遺言書情報証明書の交付を受けたときに、法務局の遺言書保管官が「その他の関係相続人等」に対し、遺言書保管所に遺言書が保管されている旨を通知するものである。

 しかしながらこの通知は、関係相続人等のうちのいずれかが閲覧等をしない場合には、遺言者が死亡したとしても実施されないものであることから、関係遺言書保管通知を補うものとして、(2)により、遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合にはあらかじめ遺言者が指定した者に対して遺言書が保管されている旨を通知する仕組みとした。法務省では「確実な通知のためのお願い」とし、関係相続人等の「正確な氏名又は名称及び住所の記載に御協力ください」とするとともに、関係相続人等の協力を得たうえでの住民票の写しなどの記載の確認、転居や身分関係に変更があった場合などには変更の届出を行うことを呼びかけている。

 本制度の手数料は、上記09の手数料一覧においても確認できるように、遺言書の保管の申請:1件につき3,900円、遺言書の閲覧の請求:モニター1回につき1,400円、原本1回につき1,700円、関係相続人等による遺言書情報証明書の交付請求:1通につき1,400円などとなっている。遺言の目的となる財産の価額による増額はなく、比較的低廉とも捉えられる設定であり、新たな選択肢としての普及が期待される。

 

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