経産省、「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会報告書」を公表
岩田合同法律事務所
弁護士 冨 田 雄 介
1 はじめに
経産省は、「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」において、株主総会当日の新たな電子的手段の活用の在り方、及び近年の内外の制度整備や実務の積み重ねを踏まえたさらなる対話のための環境整備等について検討を行っていたところ、2020年7月22日、その成果として「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会報告書」(以下「本報告書」という。)を公表した。なお、当該研究会のもう一つの成果物である「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」(2020年2月26日公表)は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響もあり、実務的に大きな注目を集めたところである。
本報告書の特徴としては、以下で述べるとおり、株主総会を意思決定機関としての株主総会と会議体としての株主総会という二つの側面に分けて検討している点が挙げられる。
2 意思決定機関としての株主総会
意思決定機関としての株主総会については、従前から、年間を通じた株主総会プロセス全体での建設的な対話を促すためにスケジュールの見直しや情報開示の在り方について検討が進められており、例えば2019年12月の会社法改正において株主総会資料の電子提供制度が創設されたこともその一環として位置付けられる。
本報告書は、この点に関し、まず、企業と投資家・株主において認識ギャップが生じている場合があることを指摘した上で、これを解消するに当たり企業と投資家・株主において実施することが望ましいと考えられるポイントとして、以下の事項を挙げている。近年、上場会社では、株主総会以外の場面でも、投資家・株主に情報開示や説明を実施する事例が増えているところ、本報告書では、各ポイントに関する具体的取組例も紹介されており、対応の参考になろう。
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(とみた・ゆうすけ)
岩田合同法律事務所パートナー。2010年弁護士登録。2014年10月から2016年9月まで三井住友信託銀行株式会社勤務。争訟解決業務、金融機関関連業務、株主総会関連を含めたジェネラルコーポレート、競争法関連業務等を手掛ける。『Q&A 家事事件と銀行実務』(共著、日本加除出版、2013年)、『Q&Aインターネットバンキング』(共著 金融財政事情研究会 2014年)、『業種別ビジネス契約書作成マニュアル』(日本加除出版、2015年)等著作・論文多数。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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