会社計算規則の一部を改正する省令が公布・施行される
――企業会計基準委の「収益認識に関する会計基準」及び
「会計上の見積りの開示に関する会計基準」等に対応――
「会社計算規則の一部を改正する省令」(令和2年法務省令第45号)が8月12日に公布・施行された。
今回の改正は、企業会計基準委員会が3月31日、改正企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」等を公表したことを受けたものであり、6月4日から7月3日までパブリック・コメントにより意見を公募していた。
パブリック・コメントの際の「概要説明」から改正内容のポイントをみると、次のとおりである。
【改正の内容】
(1) 会社計算規則115条の2第1項の収益認識に関する注記として表示すべき事項を「当該事業年度に認識した収益を、収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不確実性に影響を及ぼす主要な要因に基づいて区分をした場合における当該区分ごとの収益の額その他の事項」、「収益を理解するための基礎となる情報」及び「当該事業年度及び翌事業年度以降の収益の金額を理解するための情報」に改める。
重要な会計方針に係る事項に関する注記の内容とすべき事項を定める会社計算規則101条に第2項を加え、会社が顧客との契約に基づく義務の履行の状況に応じて当該契約から生ずる収益を認識するときは、同条1項4号に掲げる事項には、「当該会社の主要な事業における顧客との契約に基づく主な義務の内容」(同条2項1号)、「前号に規定する義務に係る収益を認識する通常の時点」(同項2号)及び「前二号に掲げるもののほか、当該会社が重要な会計方針に含まれると判断したもの」(同項3号)を含むものとするほか、所要の整備を行う。
(2) 会社計算規則98条1項に第4号の2として、注記表に区分して表示すべき項目として会計上の見積りに関する注記を追加し、会社計算規則102条の3の2として、その注記の内容とすべき事項を定める規定を追加するほか、所要の整備を行う。
なお、パブリック・コメントに寄せられた意見を踏まえて、原案から以下の修正がなされた。
- ① 会社法444条3項に規定する株式会社以外の株式会社にあっては、会社計算規則115条の2第1項1号及び3号に掲げる事項を省略することができる。(上記(1)関係)
- ② 会社計算規則102条の3の2を修正し、当該事業年度に係る計算書類及び連結計算書類の同条1項1号の項目に計上した額以外の会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報について、個別注記表に注記すべき事項が連結注記表に注記すべき事項と同一である場合において、個別注記表にその旨を注記するときは、個別注記表における当該事項の注記を要しないこととする規定を設ける。(上記(2)関係)
【施行期日と経過措置】
1 施行期日
公布の日から施行。
2 経過措置
(1) 改正後の会社計算規則88条1項1号、101条2項及び115条の2の規定は、令和3年4月1日以後に開始する事業年度に係る計算書類及び連結計算書類について適用し、同日前に開始する事業年度に係るものについては、なお従前の例による。
ただし、令和2年4月1日以後に終了する事業年度に係るものについては、これらの規定を適用することができる。
(2) 改正後の会社計算規則98条1項4号の2並びに2項1号・2号及び5号並びに102条の3の2の規定は、令和3年3月31日以後に終了する事業年度に係る計算書類及び連結計算書類について適用し、同日前に終了する事業年度に係るものについては、なお従前の例による。
ただし、令和2年3月31日以後に終了する事業年度に係るものについては、これらの規定を適用することができる。
会社計算規則の一部を改正する省令(令和2年法務省令第45号)(8月12日)
https://kanpou.npb.go.jp/20200812/20200812h00309/20200812h003090002f.html
○法務省、「会社計算規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080217&Mode=2
○結果概要別紙
https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000205371
○意見公募時(6月4日)
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080217&Mode=0&fromPCMMSTDETAIL=true